これまで日本の電力政策は、主に国と電力会社によって決められてきた。しかし、ここにきて大口需要家である企業の存在感が増してきている。上述の事例からも分かる通り、大手企業の取り組みは関連するパートナー企業にも影響を与え、社会全体を変えていく力をもつ。国のエネルギー政策においても、こうした動きは無視できない。
パルディスカッションに参加した環境省 地球環境局長の森下哲氏も、「重要なことは、世の中の変化に対応して政策を進めていかなければならないということだと思っています。とりわけ気候変動は大きな課題でありまして、一部の機関・組織が取り組んだだけでは、まったく歯がたちません。政府はもとより、企業、産業界、金融界、自治体、国民の皆さまで力を合わせて取り組んでいかなければなりません。その中で、“気候変動問題・環境問題に取り組むことはもうかるんだ”と感じてもらえるような、産業界の後押しになるような政策を進めていきたい」と話している。
この日、司会を務めた自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループ マネージャーの石田雅也氏は言う。「脱炭素化への取り組みを、リスクと捉えるか、オポチュニティ(機会)ととらえるかが非常に重要なポイントです。海外で気候変動に取り組んでいる企業の多くは、それをリスクではなくオポチュニティと捉えています。世界的な傾向として、金融界や有力な投資家が、企業に対して再生可能エネルギーの利用を求めるというプレッシャーも高まっています。化石燃料には先が見えないからです。日本においても、技術・金融・社会・政策、いろいろな要素の変革があいまって、再生可能エネルギーが大きく進展していくものと期待しています」。
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