アサヒグループが環境目標、2050年に温室効果ガス排出“ゼロ”を掲げる自然エネルギー

飲料大手のアサヒグループホールディングスが新しい環境目標を策定。国内グループ企業を対象に、2050年までに温室効果ガス排出ゼロを目指す方針だ。

» 2018年05月08日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 アサヒグループホールディングスは2018年4月、新しい環境経営の中長期目標「アサヒ カーボンゼロ」を設定したと発表した。国内グループ企業を対象とし、2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指す方針だ。

 アサヒグループでは、2010年3月に策定した「環境ビジョン2020」をもとに、「低炭素社会の構築」「循環型社会の構築」「生物多様性の保全」「自然の恵みの啓発」という4つのテーマを柱とした環境経営に取り組んでいる。

 このうちの1つである「低炭素社会の構築」について、近年のパリ協定や国連の持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)を踏まえ、今回新たに2050年およびその過程における2030年の温室効果ガス排出量削減の目標を掲げた。

 今回設定した目標は、2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指すものであり、それに向けて2030年にScope1、Scope2およびScope3で、2015年比30%の削減を目標としている。なお、Scope1とは、自社(工場・オフィス・車など)での燃料の使用による温室効果ガスの直接排出、Scope2は自社が購入した電気・熱・蒸気の使用による温室効果ガスの間接排出を意味する。Scope3は、Scope1、2を除く、自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出量となる。

 この目標達成に向けて今後、製造工程における蒸気などの排熱回収利用、缶列常温充填(じゅうてん)化などの冷熱利用、コージェネレーション設備の導入、燃料転換などさまざまな省エネ・環境施策を実施するとともに、環境マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO14001」を活用し、全事業場でさらなる省エネに取り組む方針。

 なお、同社では2009年から、ビール製品「アサヒスーパードライ」の350ml(ミリリットル)缶とギフトセットを対象に、製造に使用する電力のグリーン化を進めている。今後もこうした取り組みを継続しながら、再生可能エネルギーの活用を積極的に進めるとしている。

グリーン電力を活用したヒール製造の工程 出典:アサヒグループホールディングス

 加えて、現在取り組んでいる容器包装における軽量化・簡素化、物流における共同配送やモーダルシフト、商品販売における自動販売機やビールサーバーの省エネ化など、バリューチェーン全体での施策も推進する。

 なお、この目標と取り組みについては、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の中長期目標を承認する仕組みで、世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑えるための科学的根拠に基づく温室効果ガスの目標設定であるSBT(Science Based Targets)への申請も行った。

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