富士電機は1台で太陽光発電と蓄電池の両方に対応できるマルチパワーコンディショナーの販売を開始。発電所における蓄電池の活用および導入コストの削減に寄与するという。
富士電機は、2種類のPCSを集約し、設備の低コスト化と電力損失の低減に貢献するなどの特徴を持つ蓄電池併設型マルチPCS(パワーコンディショナー)の販売を開始した。今後、再生可能エネルギーを活用した分散型電源の導入を進める東南アジアを中心に、グローバル市場に展開する。
再生可能エネルギーの導入が拡大すると、発電量の変動を抑制し、電力の需給バランスを保つことの重要性が高まる。その解決策の一つが蓄電池の活用であり、蓄電池を併設した太陽光発電設備では、昼夜・日照量などで変動しやすい電力需給バランスを蓄電池が整える。発電量が消費を上回れば蓄電池に充電し、足りない時には蓄電池にためていた電気を放電し使用。この充放電を高精度で制御することが、発電量や系統の安定化につながる。
今回新たに発売する蓄電池併設型マルチPCSは、蓄電池併設型の設備に必要なPCSの設置台数を減らすことで、低コスト化と高効率化に寄与する。従来の蓄電池を併設した太陽光発電設備では、太陽光パネルと蓄電池それぞれに電力変換を行うPCSが必要だったが、新製品はPCSを構成するインバーター回路やコントローラーを集約することで、2種類のPCSが持つ機能を一体化した。それによりPCSと付随する変圧器の設置台数や設置工数を減らすことができ、従来設備に比べて約20%の低コスト化を実現する。
さらに、太陽電池が発電する電力を交流に変換することなく蓄電池に充電できるため、電力損失が従来に比べて4〜5%低減するという。
富士電機では風力発電施設での蓄電池制御における実績を基にした制御モデルの実証・構築を進めてきた。現在、この制御モデルにおける一定期間の発電量変化の割合(発電量変化率)は1分間で1%以内という。新製品にもこの高精度な制御モデルをオプションとして提供するとしている。
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