太陽光の入札対象を「500kW以上」に拡大、2019年度の募集容量は750MWに法制度・規制

政府は太陽光発電のFIT価格を決める入札制度について、対象とする事業規模を拡大する。2019年度はこれまでの2000kW以上から500kW以上に拡大する。入札対象を拡大することで発電コストのさらなる低減を促す狙いだ。

» 2018年12月21日 08時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 政府は太陽光発電の入札制度について、2019年度から対象とする事業規模を現状の2000kW(キロワット)以上から、「500kW以上」に拡大する。2019年12月20日に開かれた調達価格等算定で事務局がこの案を提示し、了承された。

 2017年度から2MW(メガワット)以上の太陽光発電を対象に、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」に基づく買い取り価格の決定に導入された入札制度。入札によって事業者間の競争を促すことにより、太陽光発電の発電コストを下げることが目的だ。これまで合計3回の入札が実施されている(関連記事「太陽光のFIT価格はついに14円台に、第3回の入札結果を公表」)。

これまでの入札で落札された案件の価格分布と、各回の入札結果 出典:調達価格等算定委員会

 今回の方針では、2019年度から入札制度の対象とする太陽光発電の規模を、500kWまで引き下げる。より多くの案件を入札制度の対象とすることで、さらなる発電コストの低減効果を狙う。対象規模を500kW以上ではなく250kW以上とする案もあったが、段階措置として2019年度は500kW以上を対象とする。ただ、将来的にさらに対象規模が広がるは確実といえそうだ。

 500kW以上を対象に初めて行われる入札は、2019年度の前半に実施予定の第4回入札からとなる。現状の公表されているスケジュール案では、2019年5月31日が事業計画の受け付け締め切りで、入札募集の開始は同年8月9日となっている。

2019年度の入札スケジュール案 出典:調達価格等算定委員会

 2019年度の入札量(募集容量)については、750MWとする方針だ。これは、2017年度の500kW以上の認定量実績値742MWと、2016年度の試算値485MWの平均値である613MWに、第3回入札で参加資格を得ながら入札しなかった案件の一部と、入札したが落札できなかった案件を加えた数値だ。

 これを2019年度中に行う2回の入札で分け、第4回の募集容量は300MW、第5回は450MWとする方針だ。これまでの入札と同様に、第4回の応札容量が300MWを下回った場合は、その容量分を450MWから差し引く。

地域公共案件については、保証金を減額

 今回の委員会では、以前から議論されていた、地域公共案件の取り扱いについても議論された。

結果的に、自治体などが推進する地域公共案件については、入札制度に参加する際に支払う必要がある「保証金」を減額するという方針になった。

 地域公共案件の定義については、まずその事業に対する地方公共団体の直接の出資が確認できるもの、または、法律に基づいて策定された基準に基づく認定などにより、地方公共団体が強く関与しているものとする。後者については2019年度は「農山漁村再エネ法」に基づいて市町村が認定する案件を対象とする。ソーラーシェアリングなど、その他の案件についての扱いは、必要に応じれ来年度以降の委員会で議論する方針だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.