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» 2019年01月31日 09時00分 公開

自然エネルギー:風力発電の稼働率向上に貢献、NTNが監視システムを拡販へ

NTNは大型風力発電装置向けの状態監視システム「Wind Doctor」を拡販する。2012年に発売を開始した同システムは、国内設置数がまもなく200台に到達する見込みだという。

[長町基,スマートジャパン]

 NTNは2019年1月、同社の大型風力発電装置向けの状態監視システム(Condition Monitoring System=CMS)「Wind Doctor」の導入状況を公開した。2012年に発売を開始した同システムは、国内設置数がまもなく200台に到達する見込みだという。

NTNの「Wind Docto」 出典:NTN

 風力発電装置は、約80mのタワーとその上に設置されたナセル、回転ブレード、ブレード根もとの連結ハブで構成。ナセル内には、主軸、増速機、発電機および制御ユニットなどの駆動装置が装備されている。Wind Doctorは、この駆動系の軸受と歯車周辺のハウジングに取り付けたセンサーからデータを収集、蓄積、解析して異常兆候を把握し、不具合部位を特定する。この情報を基に、早期交換などメンテナンスをタイムリーに実施できることで、大きな故障を未然防止でき、設備の安定稼働につなげる。サイズは250×320×103mm(ミリ)で、質量5.5kgと、既設の風力発電設備への設置に適したスタンドアロンタイプであることも特徴という。

 Wind Doctorによる異常検出の一例として、2016年秋に北海道の風車で、増速機の異常を検出した。風力発電業者がファイバースコープによる点検で、実際に損傷を確認したことから、発電出力を抑制しながら運転を継続した。その間に補修部品や重機の手配調整、作業環境整備などを進め、増速機の交換作業は、風力が弱まる夏場に短期間で行われ、発電機会の逸失を最小限に留めることに貢献したという。

 同システムは、収集したデータをクラウドサーバで管理しており、NTNが無償提供する遠隔監視分析ソフトウェア「モニタリングクライアント」を利用し、NTNだけでなく発電事業者側でも情報共有が可能だ。例えば1年前との推移比較、監視部位ごとのレベル把握、あるいはデジタルフィルタ処理などが可能という。

 NTNは2014年1月〜2018年2月まで、東京大学、産業技術総合研究所などと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のスマートメンテナンス技術研究開発に参画し、風力発電の故障予知技術の高度化に取り組んだ。この成果により、設備の停止時間を大幅に短縮し、風力発電の設備利用率を21%から23%に向上できることを確認しているという。

 なお、NTNは創業100周年を記念し、Wind Doctor1台購入で、もう1台を無償提供するキャンペーンを実施し、拡販を図る方針だ。

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