太陽光発電の出力制御、対象を500kW未満にも拡大へ太陽光

経済産業省は九州電力管内において出力制御が急増していることなどを受け、対象となる太陽光発電の規模を500kW(キロワット)未満にも拡大する方針を示した。

» 2019年05月10日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 太陽光発電などの再生可能エネルギー電源を対象とする出力抑制(出力制御)、今後その対象となる発電設備の規模が広がりそうだ。経済産業省は2019年4月26日に開催した新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループの中で、九州電力管内において出力制御が急増していることを受け、公平性の観点から、対象となる太陽光発電の規模を500kW(キロワット)未満にも拡大する方針を示した。

 これまでの出力制御は、2015年1月25日以前にFIT定を行った設備を対象とする、いわゆる「旧ルール」が適用されている500kW以下の太陽光発電については「当面は出力制御の対象外」とされてきた。

九州電力管内における太陽光発電の出力制御対象 出典:経済産業省

 ただ、太陽光発電の導入が急速に広がった九州電力管内においては、2018年度に26回の出力制御を実施するなど、制御実施回数が急増している。今後も太陽光発電の系統接続量は増加する見込みで、それに伴って出力制御の回数も増えるとみられる。その中で今回のWGでは、「将来的に現状の出力制御対象だけでは必要な制御量や調整力を確保できなくなり、系統運用に支障を来すおそれがある」と指摘した。

 加えて、今後さらに出力制御の回数が増加する見通しである一方、FIT認定案件の中でも件数の多い、旧ルール適用となる低圧の太陽光発電案件が制御対象から外れるというのは、事業者間の公平性に欠けるという指摘もある。

 こうした背景から経済産業省では今後、旧ルール適用下にある500kW未満かつ10kW未満を除く案件についても、出力制御の対象とする方針を示した。対象となる案件が増えれば、1案件当たりの出力制御量を減らせるメリットも期待できる。今後、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で詳細を議論した後、夏までに具体的な方針を示す予定だ。

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