実証する発電システムは、新たに開発した新方式のモデルで、正式名称は「反射波を活用した油圧シリンダ鉛直配置式波力発電装置」。大型のアルミとゴムで構成する複合ラダーで波(海水)の力を受け、油圧シリンダーに伝えることで発電機を動かす仕組みとなっている。
ラダーはアルミとゴムの複合構造とすることで、波のエネルギーが弱い場合はなるべく全てのエネルギーを利用し、波エネルギーが強い場合は一部をゴムが変形することで逃がすようになっている。
また、東京大学が岩手県久慈市に設置した波力発電システムと比較し、油圧シリンダーと発電機をつなぐ部分の構造を見直して発電量を増やせるようにするなどの改良が加えられている。波高1.5mの場合に45kWの出力を得られる性能とした。
実証実験ではエネルギー変換効率50%、設備利用率35%以上を目指す。35%は洋上風力発電の目標とされる設備利用率30%を上回る水準だ。
東京大学生産技術研究所では、中長期的には今回設置した発電システムをユニット化し、複数連系することでより大きな出力の波力発電所を実現したい考え。実用化については今回の事業で培ったノウハウを生かし、10年以内の商業化を目指す方針で、2050年頃には原発一基分に相当する総発電能力1GWの波力発電システムを全国展開したいとしている。
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