今回、梶山経済産業大臣が打ち出した「既存の非効率な火力電源を抑制しつつ、再生可能エネルギーの導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールの抜本見直し」については、現在検討が進められている「ノンファーム接続」におけるルールを見直し、再エネを接続しやすくする制度に変更する方針だ。
これまでの議論で送配電網の効率的な利用に向けては、従来の電力会社に認められた電源のみが系統に接続できる「ファーム接続」ではなく、系統の混雑状況によって出力制御を受けることを条件に新規接続を許容する「ノンファーム接続」の導入を進めていく、いわゆる「日本版コネクト&マージ」の実現を目指すという方向性が示されている。
既に2019年9月に千葉エリアで、2020年1月には北東北および鹿島エリアでノンファーム接続が先行的に実施された。同時に東京電力パワーグリッドらが必要なシステムの開発に着手しており、経産省ではこ2021年中にはノンファーム接続を全国展開する目標を掲げている。
ただし、これまでの議論で想定されていたノンファーム接続では、「先着優先ルール」を採用する方針となっていた。これは系統が混雑した場合、先にファーム接続していた電源を優先し、後から接続した電源に出力抑制を行うことで、系統の安定を保つというもの。低炭素化という観点から見た場合、この先着優先ルールでは、ファーム接続されたCO2排出係数の大きい非効率石炭が優先され、同係数が小さい再生可能エネルギーが抑制されるという矛盾が発生する可能性がある。
そこで今後はこの先着優先ルールを見直し、系統が混雑した際には環境性の低い電源から出力抑制するなどのルールに変更し、再生可能エネルギーの導入拡大を促す方向にシフトする方針だ。この制度設計については、再生可能エネルギー大量導入・ネットワーク小委において議論を進める。
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