脱炭素のカギとなる「水素・アンモニア」、需要と投資の拡大に向けた方策とは?エネルギー管理(1/4 ページ)

新たなエネルギーとして期待されている水素・アンモニア。社会実装に向けては需要の拡大と初期投資の整備が欠かせないが、今度政府ではどのような政策を進めるのか? 2022年4月に開催された「水素政策小員会・アンモニア等脱炭素燃料政策小員会 第2回合同会議」の内容を紹介する。

» 2022年04月27日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 水素(H2)やアンモニア(NH3)は燃焼段階ではCO2を排出しないため、電力や非電力(熱利用や運輸)など幅広い分野の脱炭素化に寄与するエネルギーであり、カーボンニュートラルの実現には不可欠であると考えられている。

図1.水素・アンモニアの供給源と需要先イメージ 出所:水素政策小員会

 第6次エネルギー基本計画(エネ基)では、初めて水素・アンモニアが電源構成に位置付けられ、2030年には1%程度(90億kWh)を賄うことが想定されており、2050年時点では10%程度とすることが参考値として示されている。

 水素の供給コストについては、化石燃料と同等程度の水準まで低減することにより、供給量の引上げを目指す方針だ。

表1.水素等の将来の供給量・コスト目標 出所:水素政策小員会

分野別に見る水素需要とコスト試算

1.電力分野〜専焼・混焼システムの大型化を計画〜

 水素は燃焼速度が速いためガス火力での混焼を、アンモニアは燃焼速度が遅いため石炭火力での混焼が想定されており、いずれも将来的には専焼を目指している。

 水素の燃焼による発電方法については、既に小型水素専焼タービンが商用化済みである。さらに2025年頃には大型水素混焼タービンの実機実証を、2030年までに大型水素専焼タービンの開発が計画されている。

 2050年の総発電量約1.3〜1.5兆kWhの10%を水素発電により代替すると仮定すると、水素の必要量は578万〜667万トンとなる。

 水素発電コストを化石燃料と比較すると、LNG火力(過去10カ年平均価格)とパリティ(熱量で等価)とするための水素コストは、14.3円/Nm3と試算される。

図2.水素発電パリティコスト試算 出所:水素政策小員会

 アンモニアについては、2024年度に石炭火力に20%混焼する実機実証を予定しており、2028年度にアンモニア50%以上の高混焼実証、2050年までの専焼化を目指している。

 燃料アンモニアの使用量は2030年に300万トン、石炭火力リプレース後の専焼の拡大により2050年には3000万トンが見込まれている。また、2050年におけるアンモニア火力発電のコストは12円/kWhと試算されている。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.