省エネ法が抜本改正! 再エネ活用を促す新たな制度も――事業者の対応は何が変わる?【前編】法制度・規制(2/3 ページ)

» 2022年06月16日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

改正省エネ法におけるエネルギー換算の仕組み

 図1に記載したエネルギー消費原単位を改善させるためには、分母の生産量等が同じである場合、分子のエネルギー使用量を減らす必要がある。

 多様なエネルギーを等しく比較するために、省エネ法では全てのエネルギーを熱量換算した上で、一次エネルギー換算(原油換算)して、エネルギー使用量を算出することとしている。また熱量換算値はエネルギー種ごとに定められ、原油換算値は固定値を使用している。

図3.省エネ法におけるエネルギー換算のイメージ 出所:工場等判断基準WG

 改正で新たに「エネルギー」として加わった非化石燃料の熱量換算係数は、総合エネルギー統計や理科年表等を踏まえて設定される。

表1.非化石燃料の熱量換算係数例 出所:工場等判断基準WG

 また現行省エネ法においては、外部から購入する電力はその全量が化石燃料で火力発電されたと法令上みなされていたが(火力平均係数9.76MJ/kWh)、改正省エネ法では非化石エネルギーも対象とすることから、これを「全電源平均係数」に変更する。

 直近3年間(2018〜2020年度)の全電源平均係数は、8.64 MJ/kWhと試算されている。

図5.電気の一次エネルギー換算係数 全電源平均係数 出所:工場等判断基準WG

 なお外部(系統)から購入する電力以外に、屋上等に設置した太陽光発電を自家消費するケースも今後増えると考えられる。

 改正省エネ法ではこれも“省エネすべきエネルギー”となるため、正確な計量が必要となるが、現状の太陽光自家発電自家消費では、それ専用のメーターを設置せず、発電量を計測していないことも多い。この場合は「みなし算定」として、太陽光発電設備の定格出力に、設備利用率14.2%を乗じて電気使用量を算定することを認めることとする。

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