省エネ法が抜本改正! 再エネ活用を促す新たな制度も――事業者の対応は何が変わる?【前編】法制度・規制(3/3 ページ)

» 2022年06月16日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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非化石エネルギーに対する補正

 改正省エネ法は、省エネの深掘りと、非化石エネルギーへの転換の同時達成を目的とすることから、エネルギー消費原単位等の算定に当たっては一定の配慮が必要とされる。

 特定事業者が燃料の一部を化石から非化石(例えばバイオマス)に転換する場合、燃焼効率の悪化から「増エネ」となるおそれがあるため、化石燃料を使い続けようというインセンティブが働くこととなる。

表2.エネルギー使用量の算定方法 出所:工場等判断基準WG

 エネ庁の試算によると、石炭からバイオマス燃料への転換の場合、バイオマス燃料の1%混焼で発電効率が0.08%悪化することから、専焼(混焼100%)による効率悪化は最大でも2割程度と想定している。

 よって、非化石エネルギー(この場合、バイオマス)への転換を阻害しないため、原油換算エネルギー使用量(kl)に「補正係数:0.8」を乗じることにより、エネルギー使用量を補正することとする。

 補正の対象は、黒液・廃材、水素、アンモニア等の非化石燃料であるが、それらの補正係数(α<1)の具体値は今後の検討とされる。

 なお、自家発太陽光発電については、電気そのもののエネルギー量(3.6MJ/kWh)で換算することとする。


 後編では、新たに義務付けられる計画・報告書への非化石エネルギーの利用目標およびその算定方法、自家発電再エネ電気の取り扱いなどについて解説する(後編は2022年6月20日に掲載予定)。

著者プロフィール

梅田 あおば(うめだ あおば)/ ライター、電力事業アナリスト
専門は、電力・ガス、エネルギー・環境政策、制度など。
Twitterアカウント:@Aoba_Umed


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