電力分野では過去に、電力需給の逼迫度に応じて以下のような需要対策を講じてきている。
よって都市ガスにおいてもこれに倣い、需給逼迫の段階に応じた需要対策を行うことが検討されている。電力では需要家に対して「節電」が要請されるのに対して、ガスでは「節ガス」が要請されることとなる。
電力では節電の類型として、「1.kWを下げること(ピークカットやピークシフトによる需要抑制)」と、「2.kWh(電力量)を減らすこと」の2つがある。ガスにおいては前者は重要ではなく、後者に該当するガス使用の総量(m3)を減らすことが重要となる。
一定期間の使用量を減らすことが求められるという観点では、節ガスは、渇水対策としての「節水」との共通点も多いと考えられる。
通常、水道管は他エリアとは接続しておらず地域間の融通が困難であることや、貯水レベルは時間と共に徐々に減少していくこと、貯水レベルを維持するために早めの節水開始が有効であることなどが共通している。
電力分野では、地域間連系線により広域的・全国的に(沖縄を除く)、複数のエリアが接続され、電力が相互に融通されている。
これは同一周波数エリアであれば、電気の性状や品質はまったく同じであることが、広域的な融通を可能としている。
これに対して都市ガスでは通常、導管網がエリアごとに分断されているほか、送出されるガスそのものも、成分や熱量が異なることがあり、他エリアのガスをそのまま別のエリアで使用できるとは限らない、という課題が存在する。
また同一のガス供給ネットワーク内でも、小売事業者によってガスの調達国等は異なるが、ガスの需給逼迫は一つのネットワーク内で等しく影響を与えることとなる。このため、節ガスの要請は、同一ネットワーク内の全ての需要家に対して行われる。
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