節電のレベル1に相当する水準として、ネットワーク内のすべてのガス需要家に対して自主的な節ガス要請を行う場合、需給逼迫の度合いや、節ガスの具体的手段、その効果に関する情報提供が重要となる。
電力分野では、一般送配電事業者が常時、「でんき予報」を各社Webサイトに公表しており、リアルタイムの電気使用率等を掲載している。ガス分野ではどのような情報提供が可能か、これは今後の検討課題である。
一例としてドイツでは、パイプラインによる毎日のガス供給量(ロシアからの流入量)やガス備蓄の水準等がWebサイトに公表されている。
需給逼迫の懸念が生じた場合、ガス小売事業者から需要家に対して節ガスを要請するにあたり、デマンドレスポンス(DR)、特に「経済DR」と呼ばれる、金銭的報酬付与型のDRを行うことが効果的と考えられる。
電力では節電のために、「1.kWを下げるDR」と、「2.kWhを減らすDR」の2つが存在するの。これ対して、ガスでは後者のガス使用量(m3)を減らすDRのみが成立し得るが、ここでは電力の経済DRの手法を活用すべきとされている。
ただし、多様な用途が存在する電力とは異なり、ガスは家庭においては、給湯器やガスコンロ、暖房機器といった機器に用途が限定され。(エネファームは普及率1.5%、43万台)。
また、DRの実効性を上げるためには、削減量(使用量)をタイムリーに把握することが必須である。電力ではすでにスマートメーターが広く普及しているが、都市ガス用のスマートメーターは現時点、ごく限定的であるため、翌月の検針まで待つ必要がある。
この点も「節水」と水道メーターの関係に類似しており、一定期間の継続的な削減努力が有効と考えられる。
以上のように、無理のない範囲で自主的な節ガスを要請するだけでは需給逼迫が解消されない場合には、更なる需要対策が講じられる。
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