2022年3月と6月に発生した電力需給の逼迫。この出来事を踏まえ、今後の電力の安定供給に向けた課題は何が残されているのか。6月の需給逼迫の実態を検証するとともに、その中で分かった今後の課題を整理する。
2022年3月の電力需給逼迫(ひっぱく)の記憶も新しい中、東京電力エリアでは6月末に再び厳しい需給逼迫が発生した。6月26日(日)の夕方には、翌27日(月)の東電エリアの広域予備率が5%を下回る見込みとなったため、資源エネルギー庁から「電力需給ひっ迫注意報」が発令された。「注意報」は、早めの節電を呼びかけるために5月に新設された仕組みであり、今回が初めての発令となる。
また北海道・東北エリアでは、同月29日(水)、30日(木)の前々日時点でエリア予備率が5%を下回る見通しとなったため、各エリアの一般送配電事業者から「電力需給ひっ迫準備情報」が発出された。実際には、前日段階で広域予備率の回復が見られたため、北海道・東北では注意報の発令には至らなかった。
これまで、夏季の高需要期とは7月から9月を指しており、6月は「端境期」とみなされていた。ところが、関東甲信越地方は観測史上最速の6月27日に梅雨明けし、東京の27日の最高気温は35.7℃と記録的な猛暑となった。
この日の東電エリアの最大需要は5,254万kWを記録し、これは過去10年間の6月最大需要電力4,727万kWを11%も上回る異例の高水準である。その後も、5,238万kW(28日)、5,296万kW(29日)、5,487万kW(30日)と最大需要が更新されていった。
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