建築分野の省エネ・再エネ活用を促進――省エネ法や建築基準法が改正法制度・規制(3/4 ページ)

» 2022年09月20日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

再エネ利用促進へ――建築基準法における特例許可を拡充

 先ほどは建築物省エネ法の特例許可であったが、建築基準法においても、再エネ・省エネ設備の導入を円滑化するため、特例許可制度が拡充されている。

 従来、例えば屋根の断熱改修や屋上への再エネ設備の設置を行う場合、建築物の高さが増加することにより、高さ制限に抵触し、改修が困難となる場合があった。

 また、外壁の断熱改修や日射遮蔽のための庇の設置を行う場合、建築物の床面積や建築面積が増加することにより、容積率や建蔽率の制限に抵触する場合がある。

図5.屋根や外壁の改修による形態規制への抵触 出所:国土交通省

 このため建築基準法の改正により、屋外に面する部分の工事により高さ制限等を超えることが構造上やむを得ない建築物に対する特例許可制度が創設された。

 上述の建築物省エネ法再エネ促進区域における形態規制に係る特例許可と比較したものが、図6である。

図6.形態規制に係る特例許可の対象として想定しているもの 出所:国土交通省

大規模建築物の木造化の促進

 木造建築物では、防火規制が非常に重視されている。このため建築基準法では、3,000m2超の大規模建築物を木造とする場合、壁・柱等を耐火構造とすること、もしくは3,000m2ごとに耐火構造体で区画することが求められる。

 現在、木造建築物において壁・柱等を耐火構造とする場合は、木造部分を石膏ボード等の不燃材料で被覆する必要があるため、木材が石膏ボードで隠され、木材を見ること/触ることが出来ず、利用者が木の良さを実感しにくいという難点があった。

図7.木材耐火構造の例 出所:国土交通省

 このため建築基準法の改正により、大断面の木造部材を使用しつつ、防火区画を強化すること等により火災による延焼を抑制し、周囲への延焼を制御できる構造方法を導入することとした。

 これにより、構造部材の木材をそのまま見せる「あらわし」による設計が可能となり、大規模建築物の木造化の促進が期待される。

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