長期脱炭素電源オークションの詳細設計――求められる脱炭素化ロードマップ法制度・規制(2/4 ページ)

» 2022年10月20日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

地熱・水力・揚水のリプレースの取り扱い

 本制度では、脱炭素電源のリプレース案件への新規投資も対象としており、リプレースとは原則、「同一の場所において、同じ電源種の発電所に建て替える場合」を意味する。

 ところが地熱や水力は非常にライフサイクルが長く、一部の既存設備を活用して更新した場合には、リプレースには該当しないケースも発生する。

 例えば揚水発電の全面的な更新(リプレース)は約80〜100年に1度であり、オーバーホールを実施する際に主要設備の更新を行う場合、投資金額が一定程度巨額となることから、投資環境によっては休止に至る電源も存在することが指摘されている。

図3.揚水発電 主要設備更新のタイミング 出所:制度検討作業部会

 ライフサイクルの長い既設電源のインフラを活用することは、社会全体費用の低減につながることから、実態としてリプレースと同様の投資判断を行うケースに限り、例外的にリプレースに該当することとして、本制度の対象とする。

バイオマス混焼電源の扱い

 バイオマスを燃料とする電源については、すでに大型の専焼発電所が存在することから、「新設」については本制度の対象とならず、「既設」の化石燃料火力電源をバイオマス専焼にするための改修は、本制度の対象とされる。

 アンモニア・水素と異なりバイオマスでは、当初から低い混焼率を認めないこととして、当面はバイオマス燃料混焼率を最低でも年間70%(熱量ベース)として、2050年までのバイオマス燃料専焼化に向けたロードマップの作成提出が求められる。

 FIT認定バイオマス混焼電源の非バイオマス部分の脱炭素化の取り組みとして、アンモニア・水素混焼にするための改修を行うことや、バイオマス専焼にするための改修を行うことは本制度の対象となる。

 ただし石炭混焼電源については、過去のFIT収入によって残存簿価の回収が図られてきた可能性があることを踏まえ、残存簿価を入札価格に算入することは認められない。

図4.FIT認定バイオマス混焼電源の扱い 出所:制度検討作業部会

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