アンモニアのCO2削減量を可視化、IHIがトレーサビリティプラットフォームを開発エネルギー管理

IHIは2022年10月31日、アンモニア製造から利用に至るバリューチェーン全体におけるカーボンフットプリントを記録・可視化する「アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム」を開発し、実証試験を開始したと発表した。

» 2022年11月02日 13時00分 公開
[スマートジャパン]

 IHIは2022年10月31日、アンモニア製造から利用に至るバリューチェーン全体におけるカーボンフットプリントを記録・可視化する「アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム」を開発し、実証試験を開始したと発表した。

 燃焼時にCO2を排出しないため、クリーン燃料としての普及が期待されているアンモニア。一方、クリーンな燃料アンモニアの普及・拡大には、再生可能エネルギーによる電力を用いた水素・アンモニアの生成、輸送・貯蔵に至るバリューチェーン全体における複数のプレーヤーやプロセスをまたいだCO2排出量の詳細な記録や管理、透明性と信頼性の高いCO2削減量の算出手法の確立が課題となっている。

 IHIではこの課題に対して今回、自社IoT基盤技術である「ILIPS」と,富士通が提供する基盤技術とを組み合わせた「アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム」を開発した。

 このプラットフォームでは、ブロックチェーン技術を用い、アンモニアの「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」の各段階におけるCO2排出量の算出と記録が可能で、各プロセスにおけるCO2トレーサビリティを確保できるという。このシステムによりバリューチェーン上の各プレーヤーやアンモニアの需要家が、脱炭素の取り組みに関する情報を必要とする各ステークホルダーに対し、CO2排出量や削減量を証明できる用になるメリットもあるという。

 IHIではこのプラットフォームの有効性を確認するため「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」における再生可能エネルギー発電・水素製造設備と、「IHI横浜事業所」におけるアンモニア合成・貯蔵・ガスタービンまでの各設備からなるバリューチェーンを構築し、実証運用を開始した。この実証試験を通じて算出手法の検証や、プラットフォームとしての機能向上に取り組む予定だ。

プラットフォームのイメージ 出典:IHI

 また今後この仕組みを,世界中のアンモニアバリューチェーンに携わるあらゆるプレイヤーが参加可能なプラットフォームとして整備を進め、社外とコンソーシアムを形成した実証試験も計画している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.