具体的には、「リスク管理体制の運用状況」について、小売登録審査で提出を求める「リスク分析・管理に関する様式」に「KPIの達成状況」を追加し、年1回の頻度で定期的に自己チェックし、電力取引報の一部として国に報告する。
また「資金の概況」については、比較的短期の現預金の確保状況等を自己チェックすることが目的であるため、四半期に1回の頻度で「過去3カ月と今後3カ月」の現預金残高の見通し等を記載し、電力取引報の一部として国に報告する。
小売電気事業以外の事業を兼業している場合、原則、小売電気事業単体での現預金残高の見通しを記載することが求められる。
なお効率的な審査・制度運用の観点から、別途国の監査を受けている「みなし小売電気事業者(旧一般電気事業者)」や、需要家がいない小売電気事業者は、これらの報告様式の提出は不要である。
また、資本金が5億円以上であり会計監査人による監査を受けている(「無限定適正意見」が表明されている)事業者等は、「資金の概況」様式は原則提出不要とされる。
国は、小売電気事業者の自己チェック・報告を定期的に(年に1回)モニタリングするにあたり、「リスク管理体制の運用状況」「資金の概況」のエビデンスの提出等を求めることとする。
モニタリングの結果は、事業者名を匿名化した上で、エビデンスの種類やその確認方法などの概要を公表するが、仮に報告内容に虚偽が判明した場合等は、必要に応じて業務改善勧告や事業者名の公表等を行う。
小売電気事業者と契約する需要家の観点では、事業撤退・倒産等の可能性を判断する材料として、個別小売事業者の財務状況等が適切に公開されることが望ましい。
ただし、国が小売電気事業者の財務状況等に関する情報を公表することは、事業者の信用を毀損する(倒産や撤退をかえって早めてしまう)可能性があることから、国からの情報公開は行わないこととされた。
この代替策として、「電力の小売営業に関する指針」を改定し、小売電気事業者自身が財務状況等に関する情報を適切に公表することを求めることとした。
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