洋上風力をめぐる入札制度の見直し、「迅速性評価」や“総取り防止”の仕組みを導入自然エネルギー(3/4 ページ)

» 2022年11月07日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

公募占用指針で示すリスクシナリオの例

 各社が応札した事業計画は、洋上風力発電事業のプロジェクトが確実に運転開始まで至るかどうか、計画の実現可能性を評価することとなる。

 例えば「運転開始までの事業計画(スケジュール、配置計画、設備構造、施工計画、工事工程)」は15点満点であり、公募占用指針で示すリスクシナリオについて、その検討内容や対応が優れていると評価されるもの(かつ、「最低限必要なレベル」の基準を満たすもの)が、「良好(3.75点)」と評価される。また、その公募占用指針で示すリスクシナリオ以外に、独自に行ったリスクの特定・分析が適切になされ、その対応が特に優れていると評価されるもの(かつ、「ミドルランナー」の基準を満たすもの)は、「優れている(11.25点)」と評価される。

 運転開始までの事業計画(開発・建設・試運転期間)に対応する、公募占用指針で示すリスクシナリオは表2のとおりである。

表2.運転開始までの事業計画(開発・建設・試運転期間)リスクシナリオ 出所:洋上風力促進WG

能代港・秋田港の利用重複は回避へ

 「秋田県八峰町及び能代市沖」区域の公募が延期されたことにより、第2ラウンド公募では、同区域と近接する「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」区域について、発電設備の設置や維持管理等の拠点として、能代港・秋田港の利用期間のバッティング(重複)が生じることが懸念されている。

図4.基地港湾 利用計画の重複 出所:洋上風力促進WG

 すでに第1ラウンド公募の落札者による利用予定もあることから、能代港・秋田港の利用計画重複時における事業者選定の方法は、複雑な仕組みとなることが不可避な状況である。

図5.能代港・秋田港 今回公募における利用可能期間 出所:洋上風力促進WG

 利用重複した基地港湾をどちらか一方の公募参加者に利用させる場合、他方の促進区域においては、評価点1位の計画ではなく、利用重複しない評価点2位以降の計画を選定せざるを得ない。

 このとき全体としての評価点の下げ幅が最小限となるよう、「評価点1位の計画」と「利用重複しない次点の計画」との点差に着目し、当該点差の大きな区域の評価点1位の公募参加者に、利用重複した基地港湾を利用させることとする(図6)。

 これは、「落札制限(1GW)」における海域割り当てルールと同様の考え方である。なお点差が同じ場合は、系統容量の大きな区域が選定される。

 図5の場合、促進区域Aにおいては、公募参加者1がa港の利用権を獲得することとなる。よって、まず「促進区域A・公募参加者1・a港利用」がセットで決定される。

図6.利用重複した基地港湾を利用できる公募参加者の決定方法 出所:洋上風力促進WG

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