上述のようなCPを導入することにより、将来的に国は一定の財源を得ることが期待される。150兆円超の官民GX投資において、国はこの将来財源を裏付けとした20兆円程度の「GX経済移行債(仮称)」を発行し、速やかに大胆な先行投資を行うことを表明している。
民間投資を引き出す政府支援の基本的考え方としては、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業(技術の革新性が高い等)を対象とすることや、「産業競争力強化・経済成長」と「排出削減」の双方に貢献する投資であることを原則とする。
150兆円超のGX投資を実現するためには、国内外のESG資金を強力に振り向けることが重要である。
GX実現に向けては、いわゆるグリーンファイナンスだけでなく、移行期の投資を支える「トランジション・ファイナンス」も重要であるため、金融庁ではグリーンやトランジションの客観性確保に向けて、ESG評価機関等の行動規範を年内に策定・公表する予定である。
またGX分野は、技術や需要の不透明性が高いため、民間金融だけではリスクを取りきれない局面も存在する。
このため欧米の公的金融機関では、出資等の直接的な資金供与のみならず、債務保証、民間資金とのマッチング、ハンズオン支援など多様な支援スキームを活用し、幅広い資金ニーズに対応している。
同様に日本でも、官民連携での金融手法の検討が進められている。
また現在、複数企業の連携においては独占禁止法を順守することが不可欠であるが、今後の連携促進に向けては、競争政策上の制度的対応も検討される予定である。
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