日本国内だけでなく世界全体のGXに貢献するため、日本の技術を生かした「グリーン製品」や省エネ製品の普及やイノベーションの協力が求められている。
例えば鉄鋼分野では、「グリーン鉄」の定義を国際的に議論するための評価手法を確立することや、化学分野ではセルロースナノファイバーの普及に必要となる製品性能の評価手法の開発が例示されている。
また、世界のCO2排出量の半分以上を占めるアジアに向けては、「アジア・ゼロエミッション共同体」(AZEC)構想が推進されている。
AZECは、脱炭素を進めるアジアの国々からなるプラットフォームであり、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」を通じて、技術面や資金面、人材面で支援することにより、市場拡大による新技術普及とコスト低減を図るものである。
燃料の脱炭素化においては、水素やアンモニアの大規模なサプライチェーン構築が期待されている。
さらに二国間クレジット制度(JCM)を活用したプロジェクトでは、2030年までの累積で1億トン-CO2程度の国外での排出削減・吸収(官民連携で事業規模最大1兆円程度)の達成を目指している。
GXと経済成長の両立のためには、幅広いプレーヤーの活躍が期待されている。欧米ではいわゆるスタートアップ(イノベーションにより急成長を遂げる企業)が多数存在するが、日本では相対的に少数に留まる。
スタートアップに限らず、新しい技術の早期商業化のためには初期需要の創出が重要であるため、欧米では政府公共調達のほか、民間企業によるプラットフォーム「First Movers Coalition」が脱炭素製品の購入をコミットしている。
このため国は、グリーンスタートアップ等への民間投資促進・初期需要創出に向けて、投資関心表明書・購入関心表明書の取得状況に応じて補助額が変動する補助事業を新設し、需要創出を促進している。
次回GX実行会議では、今後10年を見据えた具体的な「ロードマップ」の素案に関して議論が行われる予定である。
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