「カーボンフットプリント(CFP)」普及施策の検討が大詰め、算定製品はグリーン購入法の対象へ(3/4 ページ)

» 2022年12月16日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

CFPにおける各種環境証書の活用

 CFPガイドラインでは外部(系統)から購入した電力や熱の使用にあたり、環境価値証書を利用したCFPを算定することとしている。具体的な算定方法は、温対法に基づく「算定・報告・公表制度」と同様である。

 電力では、J-クレジット(再エネ電力由来)と非化石証書、グリーン電力証書が使用可能であり、GHG削減相当量を計算した上で、外部から購入した使用電力由来GHG排出量から控除する。

 外部から購入した熱については、J-クレジット(再エネ熱由来)とグリーン熱証書が使用可能である。なお、ここでの証書とは、電力需要家側(例えば文房具メーカー)で購入した証書のことである。

図5.電力の再エネ証書等による控除方法 出所:CFP検討会

 これに関連して、カーボンオフセット(オフセットクレジットの使用)に関する整理が必要となる。

 CFPに関する国際的な基準である「ISO 14067」や「GHG Protocol」では、CFPの算定においてカーボンオフセットは認められていない。このため日本のCFPガイドラインでも同様に、CFPの算定においてカーボンオフセットは含めてはならないとしている。

 オフセット前の完成品のCFPが100gであれば、それはカーボンオフセットしてもCFPの数値は100gのまま変わらない、ということになる。

 ただしCFPとは別に、カーボンニュートラル製品であることを訴求する場合などは、オフセット情報の詳細と共に、カーボンオフセットを実施している旨を明確に示さなければならない。

 使用する電力や熱に対しては、証書を用いた実質的なオフセット(排出量の控除)が可能であるのに対して、「カーボンオフセット」では取り扱いが異なる点に留意願いたい。

バイオマス由来製品のCFP算定

 植物由来プラスチックなどのバイオマス由来製品についても、CFP算定にあたっては、バイオマスの栽培や生産、収穫を含むライフサイクル全体のGHGを対象としなければならない。

 他方、バイオマスは、植物などの成長段階において大気からCO2を吸収するため、ISO 14067ではCO2を吸収した段階で排出量から減じることとされている。

 よって図6の場合、CFP算定式は「②−①」であるため、CFP値がマイナスになるケースもあり得る。

図6.バイオマス由来製品のCFP算定イメージ 出所:CFP検討会

 なお一般的に、バイオマス製品の燃焼時点でのCO2排出量はゼロとみなされるが、CFPガイドライン案では、持続可能な方法でバイオマスが生産された場合に限り、バイオマスの成長段階のCO2吸収と燃焼時のCO2排出の量が等しいとみなす、という限定的な記述とされている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.