「カーボンフットプリント(CFP)」普及施策の検討が大詰め、算定製品はグリーン購入法の対象へ(1/4 ページ)

製品の製造から販売・消費までを含むサプライチェーン全体の脱炭素化に向けて、製品ライフサイクル全体のCO2排出量を記録・公開する「カーボンフットプリント(CFP)」の活用が期待されている。政府の委員会でCFPの算定方法などの見直しについて議論が行われており、新たな制度の方向性が明らかになってきた。

» 2022年12月16日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 カーボンニュートラルを実現するためには、企業等の生産活動やその消費に伴う、サプライチェーン全体での温室効果ガス(GHG)の排出削減を進めていく必要がある。

 カーボンフットプリント(CFP)は、商品やサービスに関する原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体のCO2(GHG)排出量を算定するものであり、脱炭素・低炭素製品(グリーン製品)の市場創出に重要な役割を果たすと考えられる。

図1.CFP算定のイメージ 出所:CFP検討会

 このため経済産業省は2022年9月に「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証等に関する検討会」(以下、CFP検討会)を設置し、CFPの算定・検証やその活用について検討してきた。

 CFP検討会の第3回会合ではすでに、「CFPレポート(仮称)」や「CFPガイドライン(仮称)」の骨子案が報告されており、年度内の取りまとめ・公表が予定されている。

CFP情報の比較可能性の整理

 個々の事業者がCFPを算定する目的はさまざまであり、消費者等のCFP情報の受け手(利用者)の目的もさまざまであり、CFPの利活用に何ら具体的な制約があるものではない。

 しかしながら、カーボンニュートラルに向けたグリーン製品の積極的選択という制度趣旨を踏まえるならば、製品間や一定の基準とのCFP「比較」が行われることは不可避であると考えられる。

 このため検討会事務局では、CFP情報の利用者から求められる「比較可能性」に応じて、CFPの算定において満たすべき要件を2段階に整理している。

図2.CFP算定において満たすべき2段階の要件 出所:CFP検討会

 例えば、自社工程内のCO2排出源の特定とその排出量抑制を目的とするならば、CFP情報を外部に公開する必要もなく、経時的なCFP情報の比較を行うことで足りると考えられる。このような場合は、1段階目「基礎的な要件」に適合した算定を行えばよい。

 他方、直接的な製品間CFP比較を行う「タイプIII環境ラベル」などの場合には、2段階目「追加要件」が求められることとなる。

 またCFPの「確からしさ(信憑性)」は、「客観性」の水準と「正確性(一次データ比率)」の水準の2軸で表される。

 例えば一次データの取得は困難なケースもあり、確からしさを向上させるためには、多大なコストが掛かることや、一定の制約が存在するケースもある。よって、業界や企業の事業形態の違いにより、最適なCFPの取り組みは異なることとなる。

図3.CFPの「確からしさ(信憑性)」イメージ 出所:CFP検討会
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