非常に稀頻度なリスクに対して、予備電源を常に稼働可能な状態に維持しておくことは、社会コストを上昇させることになる。このため予備電源とは、通常は休止を維持した上で必要に応じて再稼働させる電源と位置付けられる。
予備電源は休止が継続するかぎり供給力としてはカウントされないが、再稼働が判断された場合には供給力に含まれることとなる。よって予備電源は、「準供給力」とみなされる。
このため、予備電源は「供給計画」や需給検証における供給力評価には直接的には含めないものであるが、参考値として予備電源を含めた数値が示されることとなる。
容量市場に応札し落札された電源は、リクワイアメントの一つとして実需給年度には確実に供給力を供出することが求められる。このため、予備電源制度の休止電源とは、容量市場メインオークションに応札しなかった電源もしくは不落札となった電源が該当する。
2022年度の容量市場メインオークション(対象実需給年度:2026年度)では、非落札容量は1,346万kWに上り、40年以上の高経年火力が47%に達していることが報告されている。
これら以外に、休廃止を理由としてメインオークションに応札しなかった電源(大半が高経年火力)が、2,000万kW程度存在する。
ただし、容量市場で一度不落札・未応札となった電源をもし即座に予備電源制度の対象とするならば、必要以上に火力電源の休止を促してしまうおそれがある。これは、容量市場における供給力の確保に影響を及ぼすことが懸念される。
このため予備電源制度の対象電源は、容量市場メインオークションにおいて2年連続で不落札または未応札の電源とする。
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