予備電源は直ちに供給力を供出するものではないが、大規模災害等により供給力の確保が求められる場合には、一定期間内での立ち上げが求められる。
他方、電源により休止期間の長さや設備の実態は様々であり、将来の復旧を想定せず、事実上、廃止と同等の設備状態となった電源もある。このため休止電源の再立ち上げには大規模な修繕を要する場合があり、修繕項目によっては1年以上の工期を要するケースも想定される。
仮に全ての予備電源が短期間での立ち上げに対応できるように備える場合、それらの予備電源は通常稼働時とほぼ同じ状態にメンテナンス等を行う必要があることを意味するため、社会全体のコストが過大となることが懸念される。
予備電源制度は、大規模震災等の容量市場が想定していないリスクに備えるものであるが、数カ月での短期的・迅速な対応が求められる場合と、1年程度の長期的な対応で問題ない場合の双方のケースがあると考えられる。
また既存の供給力確保プロセスにおいて、契約の確定から供給力提供までを立ち上げ期間と定義すると、kW公募では約3カ月、容量市場追加オークションでは約7カ月とされている。
これらを踏まえ、予備電源制度では
の二つに区分を設けることとする。
容量市場が全国を一つの市場(沖縄を除く)として設定しているように、供給力や予備電源を広域的に調達することは、多様な電源等を低コストで調達することに有益である。
他方、現実的には地域間連系線の制約を考慮する必要があるため、特定のエリアに予備電源が偏ることは、大規模災害等に備えるという制度趣旨に反するおそれがある。また燃料種の違いによる燃料調達の容易さ等も異なるため、予備電源制度では燃料種の多様性についても一定の配慮を行うことが検討されている。
図5では、高経年(ここでは45年以上)の火力設備容量自体は東西で同じ程度であるものの、燃料種の内訳は東西エリアで大きく異なることが分かる。
これらを踏まえ、予備電源制度においては、
の二つに分けることを基本として検討を進めることとした。
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