GX-ETSに参画する「Group G」企業は、目標値以上に排出量を削減するなど一定の条件を満たした場合、その削減価値を「超過削減枠」として創出し、売却することが可能となる。
第1フェーズにおける超過削減枠の創出は、
この双方を満たすことが要件とされる。
ここでいう「NDC相当排出量」とは、参画企業が設定した基準年度排出量に「NDC水準」削減率を乗じて算出したものである。NDC水準削減率は、基準年度排出量から2050年カーボンニュートラルまで直線的に削減を行う場合の2023〜2025年度、2030年度時点の削減率を機械的に計算したものである(基準年が2013年の場合、国の削減率と同じ値となる)。
なお、「超過削減」の比較対象はあくまでNDC相当排出量であり、自社で設定した直接排出目標値との比較ではないことに留意願いたい(超過削減枠=「NDC相当排出量」−「直接排出実績」)。
また超過削減枠の創出に際しては、GXリーグ事務局へ登録された第三者検証機関から、合理的保証水準の検証を受けなければならない。
第1フェーズで創出された超過削減枠は、排出削減に向けた早期のGX投資インセンティブを高める観点から、フェーズをまたいでの活用を可能とすること(いわゆるバンキング)も検討される予定である。
超過削減枠は3年間のフェーズ終了後に創出・付与することが原則であるが、単年度終了後に要件を充足している場合には、超過削減枠を「特別創出」し、他社と取り引きすることも可能である。
第1フェーズ終了後、3年間の排出量実績が目標排出量を超過した場合、未達分に相当する「超過削減枠」や「適格カーボン・クレジット」を調達・無効化することにより、目標を達成したとみなされる。適格カーボン・クレジットには現時点、J-クレジット及びJCMクレジットが含まれる。
なお参画企業がNDC相当排出量よりも野心的な目標を掲げていた場合には、NDC相当排出量と排出量実績の差分にあたる超過削減枠等の調達を行えばよいとしている。
また第1フェーズでは罰則等は無いため、超過削減枠等の調達を行わずとも、情報開示ガイドラインに基づき、未達となった理由をGXダッシュボードで説明・公表することでもよいとされている。
GX-ETSでは、参画企業各社が自主的に設定した目標やその達成状況、達成のための排出量取引状況は、情報開示プラットフォーム「GXダッシュボード」上で公表することとしている。
また高炉製鉄業のように、現時点、脱炭素への代替手段が技術的・経済的に存在しない産業分野については、代替手段の確立に向けた課題や国際競争の状況等、閲覧者向けの分かりやすい関連情報をGXダッシュボードに掲載することにより、各業種の特性に対する理解を促す予定としている。
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