リチウムイオン電池の設置規制を緩和、消防法で定める安全対策も見直しに法制度・規制(2/4 ページ)

» 2023年02月27日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

検討会によるリチウムイオン蓄電池の消火実験

 このため検討会では、実際にスプリンクラー設備を用いた消火実験を行うことにより、必要な放水量や放水密度等を検証することとした。

 消火実験では、「1.一般的なスプリンクラー設備」のほか、「2.米国FM社と同様の基準」「3.ドイツ保険協会と同様の基準に基づくスプリンクラー設備」によって、リチウムイオン蓄電池の火災が有効に消火できるかを検証した。

図2.消火実験(2.FM社と同様の基準の場合) 出所:消防庁検討会

リチウムイオン蓄電池屋内貯蔵所の規制緩和

 3タイプの消火実験の結果、米国FM社やドイツ保険協会と同様の基準の場合、スプリンクラー作動後、迅速に火勢を押さえ込めることが確認できた。

 このため、消火実験で使用したスプリンクラー設備と同等以上の放水性能があり、貯蔵方法も同等であれば、リチウムイオン蓄電池の火災を初期に消火することが可能であり、リチウムイオン蓄電池を貯蔵する屋内貯蔵所の面積、階数及び軒高の制限を緩和しても火災安全性が確保されると判断された。

 また消火実験では、樹脂製のパレットは長時間火がついたまま容易に消火できないことが確認されたことから、パレットは樹脂製以外とするべきと注記されている。

図3.屋内貯蔵所 規制緩和後のイメージ 出所:消防庁検討会

倉庫の区画の安全対策

 現在も、リチウムイオン蓄電池の屋内貯蔵所では、壁や柱、床を耐火構造とし、梁を不燃材料で造る必要があるが、今後の床面積規制の撤廃にあたり、火災を局限化するための追加的な安全対策が必要となる。

 具体的には、一つの区画は1000m2以内として、防火シャッター等により隣接区画と分離する。また、防火シャッターの故障や物件存置によりシャッターが閉鎖できず、出火区画で火災が収まらない場合に備え、隣接区画に設ける消火設備は出火区画と別系統とすることが求められる。

図4.消火設備の系統二重化イメージ 出所:消防庁検討会

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