新制度で対象とする再エネとは、太陽光発電だけでなく、太陽熱利用や地中熱利用も含まれる。ただし、今後の新設の大半が太陽光発電と想定されるため、以下では、太陽光発電に絞った記述とする。なお現在、都内の建築物総数約225万棟のうち、太陽光発電設備を設置した物件は95,486棟に留まる。
新設された建築物環境報告書制度では、制度対象事業者に対して、1年間で供給する住宅等において、一定量以上の再エネ設備を設置することを求めている。
ここで、各社の再エネ設置量の基準を算定する計算式は、以下の通りとされている。
まず、上記算定式右辺のうち、「①設置可能棟数」とは、事業者の実際の年間供給棟数から、太陽光パネル設置に適した屋根の面積が一定規模未満の住宅などを差し引いた棟数である。
具体的には、
これら両方の条件に適合する建築物は算定除外とすることが可能である。これにより、北面片流れ屋根の住宅等に、無理に太陽光パネルを設置する必要が無くなる。設置基準算定の棟数から除外可能な住宅のイメージは図2の通りである。
次に、「②算定基準率」とは、一定以上の太陽エネルギー利用に適した割合を基に、都内の区市町村を3つに区分し、区分ごとに設置を求めていく割合を設定したものである。都内一律の算定基準率である85%を使用することも可能である。
算定式右辺の最後の、「③棟あたり基準量」は、2kW/棟とする。この数値は、再エネ設置基準(総量)を算出する際の係数として使用するものであって、1棟ずつ2kWの設置を求めるものではないことに留意願いたい。
現状の設置実績の大半が2kW以上であることや、都内におけるFIT制度による太陽光発電設置容量の平均値は4.1kW程度であることなどを踏まえて、2kW/棟と設定したものであり、今後、実情に応じて見直す予定としている。
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