上記算定式に基づき、制度対象事業者がどの程度、太陽光発電を設置すれば義務を果たすこととなるのか、設置基準に適合する姿として、2つのケースが例示されている。
住宅供給事業者A社が年間500棟の住宅を都内で供給するとして、設置基準算定除外とする住宅の棟数がゼロと仮定すると、設置可能棟数は500棟となる。(年間供給棟数500棟−算定除外棟数0棟=設置可能棟数500棟)。ここで都内一律の算定基準率85%を用いる場合、再エネ設置基準(義務量)は850kWとなる。
このとき、図4のケースAやBの場合、実際の設置容量合計が再エネ設置基準を上回るため、A社は義務を果たした(基準に適合した)と判断される。
これらの例の場合、物理的に太陽光パネル設置が不適な算定除外棟数をゼロと仮定しているので、ケースAの「太陽光発電の設置なし150棟」やケースBの「300棟」は、施主の意向により太陽光発電の設置を見送ったと想定される。
つまり、「義務化」の言葉のイメージとは異なり、太陽光パネルが設置可能であるにも関わらず、施主が何らかの理由で設置を見送る自由度はかなり大きい「基準」であると言える。
また太陽光発電協会は、目標設定の基準等は十分達成可能なレベルであり、事業者にも十分配慮した内容であると評価している。
近年では第三者所有PPAのような、施主の初期費用を軽減する太陽光発電設置モデルが普及している。このため、本制度では太陽光発電設備の設置者・所有者は問わず、どのような設置手法であっても、義務履行に利用可能としている。
本制度はあくまで建築物に係る制度であるため、太陽光発電設備の設置場所は、屋根上やソーラーカーポートなど、原則、当該敷地内とする。
また本制度では、「新築」建築物を対象としているが、例外的な代替措置として、当該事業者が過年度に供給した都内住宅・建築物(既設物件)に限り、当該年度に新たに設置した太陽光発電を義務履行の一部として計上することができる。代替措置(既設建築物+新規太陽光)による義務履行は、義務量の2割を上限とする。
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