アンケート調査では、まず小売電気事業者によるバランシンググループ(BG)の組成について尋ねている。BGとは、インバランスを算定する対象となる単位であり、複数の小売電気事業者が1つの「需要BG」を組成し、代表契約者が一般送配電事業者と1つの接続供給契約を締結する。BG全体で同時同量に取り組むため、1社で需要BGを組成する場合と比べ、インバランスリスクを抑制できるメリットがある。
アンケート回答者の半数程度が、子BGの形態で小売事業を行っている(有効回答数=199件)。ただし、アンケートに未回答の小売電気事業者が500社程度あるため、小売事業者の全体像は不明である。
子BGの場合、親BGに電源調達を委託できるメリットがあるが、(むしろ親BGが電源調達をサービスとして提供することで、子BGの参加を募っている)、親BG(仮想BG含む)に電源調達の全てもしくは一部を委託している子BGは67%であった(有効回答数=102)。
また親BGに電源調達を委託する場合、100%委託するケースが大半であるが、親BGがどこから電源調達をしているかをすべて把握している子BGは3割に留まり、一部を把握している子BGは5割、全く把握していない子BGは2割であった。
小売電気事業者の電源調達先(2021年度実績)をkWhベースで表したものが図6である。図6の左円グラフは各社の回答を単純平均したもの、右円グラフは各社の2021年度需要実績(kWhベース)で加重平均したものである。(有効回答数=187)
左円グラフでは、新電力の多くが親BGから電源調達している回答と整合的であるが、スポット市場依存度は2割程度に留まっていることが分かる。また旧一電小売部門の多くが、社内・グループ内発電事業者から電源調達しているため、加重平均した右円グラフでは、発電事業者からの調達率が高く表れている。
小売電気事業者の電源調達(kWhベース。2021年度実績)について、契約期間の実績と希望ポートフォリオを比較したものを、各社の2021年度需要実績(kWhベース)で加重平均した結果が図7である。加重平均では旧一電のウェイトが高く表れるので、現状では10年以上の契約期間が約28%と高いものの、今後の希望としては、10年以上の長期契約を減らしたい意向が読み取れる。
これは、発電事業者は図3のように10年以上の長期契約を増やしたいと考えていることとミスマッチが生じていると言える。
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