それでは現在、国内のバイオガス発生量はどれぐらいだろうか。まず、バイオガスの原料となる「バイオマス」の発生量は表2のとおりである。例えば家畜排せつ物の利用率は86%と高いが、その大半は堆肥や液肥としての利用であり、エネルギーとしての利用は限定的である。
家畜排せつ物(牛ふん尿)はその処理方法の違いにより、温室効果ガス(GHG)排出量が大きく異なることが報告されている。よって、家畜排せつ物をバイオガス化することは、畜産分野におけるGHG排出量抑制の観点からも、非常に有効である。ただし、バイオガス化と同時に生成される液肥(消化液)の利用(農地への散布)は、北海道以外では限定的という課題がある。
また下水汚泥に由来するバイオガス発生量は、約3.7億m3と推計されており、この大半がすでに消化槽の加温やバイオガス発電の燃料として、有効利用されている。
また、下水汚泥に含まれる有機物量のうち、エネルギー利用された割合は約27%(バイオガスは約16%)であり、残り73%はエネルギーとして未利用である。(2020年度)
バイオマス活用推進基本計画では、2030 年に下水汚泥有機物の約50%の利用を目標としているが、これにはエネルギー利用だけでなく、農地利用も含まれる。家畜排せつ物や食品廃棄物等についても同じような状況であり、全般的に、バイオガス等によるエネルギー利用の実績や目標値が不明確である。
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