大型化が進む洋上風力発電、新たな環境アセスメント制度を検討へ法制度・規制(4/5 ページ)

» 2023年06月16日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

区域選定における環境配慮手続の在り方

 再エネ海域利用法に基づき国が有望区域選定を進める段階において、国(環境省)は区域選定における環境配慮手続を実施する。

 具体的な手続の流れは図6のとおりであり、洋上風力発電事業が見込まれる区域(現行の再エネ海域利用法のスキームの場合、都道府県から情報提供が行われた区域)について、以下のようなプロセスとなる。

図6.区域選定における環境配慮手続の流れ 出典:環境省検討会
  1. 環境省は、当該区域で洋上風力発電を実施する場合において重大な影響の回避・低減のため環境配慮が必要な事項を選定し、その影響について文献調査結果に基づき、簡易な手法による予測・評価を実施し取りまとめる
  2. 上記1を行うに当り、環境省は、当該海域の情報(渡り鳥のルート等)について有識者から情報収集・意見聴取を行う
  3. 上記1の結果が有望区域検討のプロセスに適切に反映されるよう、環境省は資源エネルギー庁・国土交通省と必要な調整を行う

環境アセスメント等の設計手続の在り方

 国(環境省)が環境アセスメントの設計書の内容を確定するに当たっては、幅広い情報収集を行い適正な環境配慮を確保することや、事業に係る環境影響の理解の促進を図ることが重要である。また、事業者選定後に追加調査等の手続の手戻りを防ぐため、関心を有する者・地域等に対して広く適切に情報共有を図ることも重要とされる。

 このため環境省は、事業実施前の環境アセスメントや事後のモニタリング等について、どのような項目についてどのように実施するかを予め環境アセスメント等の設計書の案を取りまとめる。

図7.環境アセスメント等の設計手続の流れ 出典:環境省検討会

 上述の図7の手続きの流れにおいて、1〜3の各プロセスの詳細は以下の通りとなっている。

  1. 環境アセスメント等の設計書案の検討に当たっては、必要な事項について有識者からの情報収集・意見聴取を実施する
  2. 環境アセス設計書案においては、現地調査の内容や稼働段階におけるモニタリングの方法等について、取りまとめる
  3. 環境省は、原則として有望区域が公表された後に、環境アセス設計書案を公表し、適切な方法で説明会を実施した上で、住民や地方公共団体からの情報収集・意見聴取を実施する

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