太陽光発電は426万kWの未稼働案件が失効に、国内の再エネ導入の最新状況自然エネルギー(1/5 ページ)

資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」第52回会合では、再エネ導入進捗や今後の施策など、国内の再エネに関する最新情報が公開された。その概要を紹介する。

» 2023年07月11日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 今年の5月12日に、「GX経済移行債」を活用した先行投資支援等の措置を盛り込んだ「GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)」が成立、5月31日には、再エネの事業規律強化や系統整備のための環境整備等の措置を盛り込んだ「GX脱炭素電源法(脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律)」が成立した。

 FIT制度の導入等により、再エネの電源構成比は20.3%(2021年度)と大幅に増加したものの、第6次エネルギー基本計画において掲げられたエネルギーミックス(再エネ比率36〜38%)の実現に向けては、さらに取り組みの加速を図ることが求められている。

表1.国内の再エネ導入推移 出典:再エネ大量導入小委

 資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」第52回会合では、第6次エネルギー基本計画策定以降の再エネ導入進捗や今後の施策などが報告された。

太陽光発電の現状と導入拡大に向けた論点

 2022年度末時点の太陽光発電導入量は70.7GWであり、直近では年間5GW程度の追加導入があるものの、2022年度認定量は1.5GWに留まるなど、減速傾向が顕著となりつつある。

図1.太陽光発電の導入量、導入目標 出典:再エネ大量導入小委

 太陽光発電の国土面積あたりの導入容量で見ると、日本は主要国の中ですでにトップとなっており、太陽光発電適地の確保が課題となっている。この対策の一つが屋根への導入促進である。

 このため、2022年度よりFIT制度において一定の集合住宅に係る地域活用要件の緩和や、屋根への導入に係る入札免除を行っていることに加え、2023年度からは事業用太陽光において「屋根設置」区分を新設している。

表2.事業用太陽光の調達価格等 出典:再エネ大量導入小委

 再エネ特措法において、事業用太陽光では「2028年に発電コスト7円/kWh、特に費用効率的な案件(トップランナー)は2028年に発電コスト5円/kWh」といったFIT/FIP価格目標を設定しており、直近の第16回入札では、平均落札価格:9.34円/kWh、最低落札価格:9.00円/kWhに、コスト低減が進んでいる。

 また、立地制約の克服等に資する技術として、ペロブスカイト等の軽量な次世代型太陽電池があり、2030年までのギガワット規模の量産体制構築を目指して、GI基金を活用した研究開発が進められている。また、次世代型太陽電池を対象としたFIT/FIPにおける新たな発電設備区分の創設の是非についても今後の検討予定としている。

図2.ペロブスカイト太陽電池 産業化の取り組み 出典:再エネ大量導入小委

 これまで、FIT認定を取得しながら長期間稼働しない案件が多数存在することが問題となっていたが、再エネ特措法の2022年改正により、認定を失効する制度が導入された。これにより、2022年度末で失効期限を迎えた53,495件/426万kWの未稼働案件が失効となった。

表3.事業用太陽光 未稼働案件の失効件数・容量 出典:再エネ大量導入小委
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