関西電力が展開するAI搭載の分散型サービス基盤「K-VIPs+」とは?スマートエネルギーWeek 秋 2023

関西電力が「スマートエネルギーWeek 秋 2023」に出展。グループ会社のE-Flowが展開する、AIを搭載した分散型サービスプラットフォームを披露した。

» 2023年09月27日 06時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 「スマートエネルギーWeek 秋 2023」(9月13日〜15日/幕張メッセ)において、関西電力グループのE-Flowは、分散型サービスプラットフォーム「K-VIPs+」(ケービップスプラス)を展示した。E-Flowは今年4月に設立された関西電力の100%子会社で、同グループにおいて「VPP事業」「系統用蓄電池事業」「再生可能エネルギーのアグリゲーション事業(再エネアグリ事業)」を担う。

関西電力ブースの様子

 VPP事業は、顧客が保有するさまざまな分散型リソースを束ねることで、供給力や調整力などの発電所と同じような電力価値を生み出し、市場に提供する。系統用蓄電池事業では、顧客が保有する系統用蓄電池を運用し、日々の市場入札・計画提出などを代行する。再エネアグリ事業では、顧客が保有する太陽光や風力発電設備などの再エネ電源を運用し、市場取引や相対卸売などを実施する。

AIを搭載した分散型サービスプラットフォーム

 「K-VIPs+」は、同社事業に共通する分散型サービスプラットフォームであり、新規開発された独自のAIアルゴリズムを搭載する。全国に広がる多様な分散型エネルギーリソースを一元管理し、創出した電気価値(kW、kWh、ΔkW)を、容量市場・需給調整市場・卸電力市場などから最適な市場を選定し、取引することができる。

 さらに、搭載したAIアルゴリズムにより、市場動向の高精度な予測が可能となっている。加えて、さまざまなリソースの運用を通じて獲得したデータの活用や、今後成長が期待される生活・産業分野の情報プラットフォームと連携することで、新たなサービスの創造や社会課題の解決にも貢献し得るものだという。

 今後は、これまでの産業用・業務用VPPリソースにプラスして、空調・給湯機・EVなど生活を取り巻くさまざまな機器をVPPリソースとして活用することを目指し、幅広いリソースアグリゲーターと連携を図っていく。また、取引市場に関しては、前述の容量市場・需給調整市場・卸電力市場にとどまらず、これから開設される電力市場にも即応していくとする。

 同社としては、これら市場での活用に加え、多様な分散型エネルギーリソースから創出した電力価値を取引するさまざまなサービスに対応していくことで、リソースアグリゲーターやリソースを提供する事業者とともに、新たな価値の創造を図っていきたい考えだ。

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