非化石価値を取引する2つの市場、その最新動向と今後の制度変更の見通し(1/5 ページ)

国内で非化石価値を取引することができる「再エネ価値取引市場」と「高度化法義務達成市場」。このほどこの2つの市場について、最新の動向が報告された。

» 2023年09月20日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 現行の非化石価値取引市場は、FIT証書を取引する「再エネ価値取引市場」と、エネルギー供給構造高度化法義務の達成に向けて非FIT証書の取引が行われる「高度化法義務達成市場」の2つに分かれている。

 資源エネルギー庁の制度検討作業部会第84回会合では、2つの市場の最新の動向が報告された。

高度化法 第一フェーズの中間目標達成状況

 国はエネルギー供給構造高度化法(高度化法)において、小売電気事業者の2030年度非化石電源比率目標を44%以上と定め、事業者ごとに達成すべき非化石電源比率「中間目標値」を通知し、目標の達成状況等について、評価を行った上で公表することとしている。

 このため、特定エネルギー供給事業者(電気の供給量が5億kWh以上の小売電気事業者等)は、毎年度、エネルギー源の環境適合利用の目標達成のための計画(達成計画)を国に提出しなければならない。

 非化石電源の保有比率は事業者ごとに異なるため、各社の非化石電源比率目標の達成を後押しするために設けられたのが「高度化法義務達成市場」である。同市場では非FIT非化石証書が取引されるが、発電事業者との相対取引により調達することも可能である。

図1.高度化法義務達成市場のイメージ 出典:制度検討作業部会

 高度化法では、2020〜2022年度の3年間を「第一フェーズ」と位置付け、3カ年の平均達成率(3カ年での実績値の平均÷3カ年の目標値の平均)を用いて評価を実施することが原則である。

 しかしながら、第一フェーズ最終年度の2022年度に、非FIT非化石証書の需給逼迫が発生し、実質的に非FIT証書を調達できない状況が生じたことから、3カ年平均達成率が100%未満の場合であっても、一定の条件を満たす事業者に対しては、配慮措置を適用することとした。

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