国は、2050年カーボンニュートラルや2030年度再エネ比率36〜38%の実現に向けて、S+3Eを大前提に、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら、再エネを最大限導入していくことを基本方針している。
資源エネルギー庁は、調達価格等算定委員会の今年度の検討を進めるにあたり、その第88回会合において、再エネの業界団体や事業者等からヒアリングを行った。ヒアリングはすべての再エネ電源種について行われたが、本稿では、今後の主力電源と想定される、太陽光発電と風力発電について取り上げることとする。
世界全体では太陽光発電の新規導入量(2022年)は240GWに達するなど、急成長が続いているのに対して、国内では、FIT/FIP案件の新規導入量(10kW以上・2022年度)は約3.5GW、非FIT/非FIPの約0.5GWを加えても、2022年度の導入量は約4GWに留まり、減少傾向が続いている。
このほか、住宅用太陽光(10kW未満)の導入量は約1GW、導入件数は約19万件と前年度より増加している。これは、電気料金が高騰したため、太陽光発電の価格競争力が高まったためと考えられる。
ただし、2022年度の新築住宅着工件数86万件と比べると、太陽光発電の設置率はまだ22%に留まる。国は、2030年までに新築住宅の太陽光設置率6割を目標としており、これを達成するためには更なる対策が必要とされる。
国の2030年導入目標を達成するには、毎年5GW程度の新規導入が必要となるが、事業用太陽光発電(10kW以上)のFIT/FIP新規認定量は、近年は1GWを下回るなど低迷が続いており、今後はこれが導入量の減少にも跳ね返るものと想定される。
太陽光発電協会によるアンケート調査の結果、発電事業者による新規案件開発の計画・見込としては、500kW以上では「新規なし」「前年比半減」「前年割れ」が半数程度を占めており、事業者の新規開発意欲が低迷していることが明らかとなった。
アンケート調査では、新規FIT/FIP認定量が大きく減少した最大の要因として、「調達価格/基準価格の急速な低下に、コスト削減が追随できていない」との回答が81%であった。
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