「同時市場」で変動性再エネ電源をどう扱うか、FIT/FIP制度との整合性が論点にエネルギー管理(2/4 ページ)

» 2023年11月02日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

FIT電源①③の同時市場における取り扱い

 まず、前日時点の「同時市場」(前日同時市場)における再エネ電源の取り扱いとしては、FIT制度における同時同量達成義務やインバランスリスクが現行制度と同じと仮定する場合、TSO予測に基づく計画配分量を、前日同時市場を通じて取引することとなる。

 FIT電源①③については、他のセルフスケジュール電源と同様に、限界費用のみの最低入札価格(現行0.01円/kWh)で売り入札することとなるため、同時市場(SCUCロジック)においても、成り行き約定に近い(※)かたちで取り扱うことに

 よって、前日同時市場におけるFIT電源①③の取り扱い自体は、現行と大きく変わらないと考えられる。

なると考えられる。

※最低入札価格である0.01円/kWhで入札したとしても、同価格の売札量が買札量を上回った場合、現在と同様に、約定は比例配分(プロラタ按分)となり、売れ残り(部分約定)が発生する。

図3.FIT電源①③の同時市場における取り扱い 出典:同時市場の在り方等に関する検討会

 なお検討会では、前日時点での「同時市場」の姿についてはほぼコンセンサスを得ているのに対して、時間前市場の設計と調整力確保のタイミングについては、

  • ①前日に同時約定を行い、時間前市場は現行のザラバ中心の取引を行う市場
  • ②前日に同時約定を行い、かつ時間前市場にも同時約定を行う仕組みを導入し、都度SCUCを繰り返し、実需給を迎える市場

この2案(「イメージ①」と「イメージ②」)が両論併記された状態である。

 FIT電源①③を、時間前断面でどのように取り扱うかについては、時間前市場の仕組み等によっても変わり得るため、それらと合わせて検討を進めていく必要がある。

図4.時間前「同時市場」のイメージ② 出典:同時市場の在り方等に関する検討会

 仮に、イメージ②の同時市場(図4)案が採用された場合、前日時点のFIT計画値とGC時点のFIT予測値の差分に対応する調整力(三次②)についても、都度SCUCを行い、GCまでTSO再エネ予測に合わせ続けることが可能となり、GC以前に対応する三次②調整力は不要になると考えられる。

 他方、予測が難しく、大きな予測外しが発生し得る再エネ出力予測の誤差に対しては、調整力だけでなく、「予備力」確保の在り方についても、日本の電源の起動特性等も踏まえた上で検討する必要がある。

図5.再エネ予測誤差対応の変更 出典:同時市場の在り方等に関する検討会

FIP電源等の蓄電池併設による類型化

 「FIP電源等」(FIT特例②・FIP・非FIT)には、同時同量達成義務やインバランスリスクが存在するため、FIP電源等の設備形態としては、太陽光・風力発電設備のみで構成される「単独型」と、蓄電池等が併設される「併設型」の2タイプが想定される。

 これらのFIP電源等が、出力の上振れ/下振れ時に、同時同量を達成(インバランスリスクを回避)するためにどのように行動し、同時市場(SCUCロジック)でどのように取り扱うか検討が行われた。

 ここでは、同時市場における電源起動・出力配分ロジックにおけるFIP電源等の出力について、バランシンググループ(BG)計画を所与とするか、それともTSOによる出力予測値を用いるかが一つの論点となる。

図6.FIP電源等の設備形態と出力変動 出典:同時市場の在り方等に関する検討会

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