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» 2023年11月30日 12時00分 公開

コバルトフリーの新型リチウムイオン電池、東芝が開発に成功蓄電・発電機器

東芝がコバルトフリーな5V級高電位正極材料を用いた新たなリチウムイオン二次電池を開発したと発表した。これまで高電位正極の課題だった、副反応として生じるガスを大幅に抑制できる技術によって実現したという。

[スマートジャパン]

 東芝は2023年11月28日、コバルトフリーな5V級高電位正極材料を用いて、副反応として生じるガスを大幅に抑制できる新たなリチウムイオン二次電池を開発したと発表した。レアメタルであるコバルトを用いず、さらに近年の需要増加と共に価格が高騰しているニッケルの含有量も少ないため、コストだけでなく資源保全の観点でも優れた電池だという。

試作した新型リチウムイオン二次電池 出典:東芝

 リチウムイオン電池の正極として、コバルトフリーかつニッケル含有量が少なく、スピネル型の高電位正極である「ニッケルマンガン酸化物(LNMO)」が注目されている。しかしLNMOは作動電位の高さゆえに電解液が酸化分解してガス化するため、電池が著しく膨れたり、寿命が短くなったりする課題があった。

 今回東芝は、高電位正極の表面で電解液が分解されてガスが発生することや、正極材料に含まれる金属が溶出し、溶出した金属が負極表面でガス発生を促進するメカニズムを持つことを解明した。これにより、正極の粒子表面を改質して電解液との反応を抑制する技術に加え、負極表面で溶出イオンを無害化する技術を開発。この技術により、一般的に広く使用されている電解液を使ってもガスの抑制が可能になったという。

開発した技術のイメージ 出典:東芝

 実際の実証では、負極にニオブチタン酸化物(NTO: Niobium Titanium Oxide)を採用した1.5Ah級のラミネート型電池を試作した。電池性能評価では、3V以上の高電圧、5分間で80%の急速充電性能、充放電を6000回以上繰り返しても初期に対して80%以上の容量を維持する耐久性と、60℃の高温下においても優れた寿命特性が確認できたという。

 正極を安定させる特性のあるレアメタルのコバルトは正極材料として広く用いられている一方、供給量の懸念、コストの変動、資源産出国の偏在などが課題とされている。こうした背景から、サプライチェーン上のリスクを抑えるにあたり、レアメタルを含まず、安定的な調達と資源保全を両立する材料を用いた電池のニーズが高まっている。

 東芝では今後、今回開発した電池の応用先として、まず電動工具や産業機器など小型で高電圧を必要とする用途への展開を検討している。将来的には車載用途への展開を目標とし、電池の大型化を目指す方針で、2028年の実用化を目標にするとしている。

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