非化石証書のトラッキング制度が見直しに、現状の課題と制度変更の方向性は?法制度・規制(1/4 ページ)

2023年11月に過去最大の約定量を記録するなど、着実にニーズが増加している非化石証書。なかでもトラッキング可能な証書のニーズが高まっているが、属性情報の取り扱いなど課題も指摘されている。政府ではこうした現状を踏まえ、トラッキング制度の見直しを検討している。

» 2024年01月10日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 FIT電源を対象とした非化石証書が取引される「再エネ価値取引市場」では、2023年11月のオークションにおいて、過去最大となる約88億kWhが約定した。その約定会員数は226者、約定加重平均価格は0.4円/kWh(市場の下限価格)であった。

図1.再エネ価値取引市場の推移 出典:制度検討作業部会

 現在、FIT非化石証書は全量がトラッキングされているほか、非FIT証書のうち「再エネ指定あり」についてはトラッキングが可能となっている。

 2023年8月分オークションにおけるFIT証書のトラッキング割当量は53億kWhに上るなど、トラッキング需要及びトラッキングの参加事業者数は増加しており、今後も着実な増加が見込まれる。

図2.FIT証書トラッキング割当量の推移 出典:制度検討作業部会

現行の非化石証書トラッキング制度の課題

 現行制度では、非化石証書そのものは有償(例えば0.4円/kWh)で購入する必要があるものの、購入した非化石証書に対してトラッキング(属性情報を付与)することは無償で行われている。つまり、現在の非化石証書約定価格には、非化石電源の属性(電源種、所在地等)に応じた価値の違いが反映されていない。

 このため制度検討作業部会では、証書の購入者が希望する非化石電源の属性情報を入札時点で明確化することにより、これを出来る限り証書価格に反映するように、トラッキング制度を見直すことが提案されている。

図3.非化石証書トラッキング見直しのイメージ 出典:制度検討作業部会
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