FITやFIP制度における買取価格などの検討を行う調達価格等算定委員会(第91回)で、国内の太陽光発電のコスト動向が報告された。また今後、ペロブスカイトなどの新たな太陽電池の普及促進を念頭に、新たな発電設備区分の創設を検討する方針が明かされた。
2050年カーボンニュートラルや2030年度エネルギーミックスの実現に向けて、主力電源の一つとして期待される太陽光発電であるが、近年その新規認定量が鈍化している。
2022年度の事業用太陽光発電の認定容量は約430MWであり、認定取得期限に達していない2022年度下半期における事業用太陽光の第14回・第15回の落札容量を合計しても、約610MWに留まる見込みである。なお、FIT/FIP制度の外で、500MW程度の導入量があると推計されている。
資源エネルギー庁の「調達価格等算定委員会」では、再エネ電力のFIT調達価格・FIP基準価格の設定に向けた検討を行っており、その第91回会合では、
などが議論され、太陽光発電の最新のコスト動向などが報告された。また、ペロブスカイト太陽電池など、次世代型太陽電池の需要創出のため、新たな発電設備区分の創設に向けた検討に着手することが決定された。
「地上設置」の事業用太陽光発電(10kW以上)について、設置年別に資本費とその内訳を見ると、特に太陽光パネル費用の低減が大きく、2013年から2023年までの低減率は▲45%である一方、工事費等の低減率は比較的小さいことが分かる。
パネルの国際市況を見ると、単結晶シリコン・モジュール価格は2020年頃に一旦上昇傾向となったが、2022年頃以降、再び低下傾向に転じており、足元の平均スポット価格は前年比48%低下の0.129$/W(1.9万円/kW)まで下落している。
「屋根設置」太陽光(10kW以上)については、2024年度以降、新たな区分が創設されたと同時に、2023年度下半期の調達価格・基準価格についても、これと同額が適用されている。これにより、屋根設置区分の申請数は、2023年10月1日〜12月15日で合計607件(85,000kW)となり、2022年度の屋根設置の認定量121MWを上回るペースで推移している。
定期報告データによると、「屋根設置」事業用太陽光の資本費は、2021年以降にやや上昇傾向となったが、2023年には再び低減したことが確認された。
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