太陽光のFIP/FIT新規認定、「含有物質情報を登録したパネルの使用」を要件に法制度・規制(3/4 ページ)

» 2024年01月30日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

発電事業終了後の安全性の確保

 太陽光発電設備の解体・撤去にあたり、太陽光発電設備の各接続を切断する電気工事は、「①一般用電気工作物等(50kW未満の設備)」については、電気工事士法によって資格のある電気工事士が、また、「②自家用電気工作物(50kW以上の設備)」については、電気事業法によって電気主任技術者の監督の下で設備の工事・維持・運用を行わなければならないことが定められている。このため、専門技術者等以外の者による接続を物理的に切る等の電気工事に該当する行為は許されておらず、そのような行為は電気事業法等の違反となる。

図4.太陽光発電設備の解体等の電気的接続切断工事 出典:再エネ発電設備の廃棄・リサイクル検討会

 電気的接続が適切に切断された太陽光発電設備を安全に解体・撤去するためには、絶縁が保持された状態を保つ必要があるが、カバーガラスが破損しセルが露出している状態や、ケーブルの金属部が露出しているなど充電部が露出し絶縁性能が低下している状況は、電気事業法上の適切な設備とはいえない可能性が高い。電気事業法における太陽光発電所の廃止をする直前までは設置者が技術基準に適合するよう適切に絶縁措置等を行う義務があり、このような法令上の規定について周知することが求められている。

 なお、太陽光発電設備は、設置形態、事業形態を問わず、パネル間、集電箱・PCS、系統との各接続を切った時点で電気事業法上の電気工作物ではなくなる(一カ所でも接続が残り、電気が流れている場合には電気工作物のままとなる)。

 使用済みとなった太陽光パネルが放置された場合、当該パネルがただちに廃棄物に該当するとは限らず、廃棄物処理法によっても対応できない場合があるため、電気事業法・廃棄物処理法いずれも適用対象外となる状態が生じ得る。

このような空白状態を防ぐため、発電事業終了後の太陽光発電設備の取り外しや解体を経て、リユース・リサイクル・廃棄のために搬出されるまでの間における、適切な管理に関する関係法令の検証、検討が急がれる。

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