太陽光のFIP/FIT新規認定、「含有物質情報を登録したパネルの使用」を要件に法制度・規制(1/4 ページ)

FIT制度の開始以降、急速に導入が進んだ太陽光発電。政府では将来大量に発生すると見込まれる太陽光発電設備の廃棄・リサイクルの適正化に向けて、新規のFIT/FIPの認定要件に「含有物質情報を登録した太陽光パネルの使用」を加える方針だ。

» 2024年01月30日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 FIT/FIP制度により導入された太陽光発電は、住宅用で316万件・1,432万kW、非住宅で70万件・5,581万kWに上る(いずれも2023年3月末時点。移行分含む)。

 これらの大量に導入された太陽光パネル等は、いずれかの時点で廃棄物として排出されることになるが、NEDOによる推計では、2035〜2037年頃に排出量のピークを迎え、年間17〜28万トン程度、産業廃棄物の最終処分量の1.7〜2.7%に相当する量と予測されている。

図1.太陽光パネルの排出量の予測 出典:NEDO

 これまで国は、太陽光発電設備の適切なリユースやリサイクルの促進に向けて、「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」や「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を策定し、解体・撤去、収集・運搬、処分に関わる事業者等に周知してきた。また、太陽光パネル等の発電設備の廃棄処理の責任は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」等により発電事業者にあるが、その費用確保をより確実とするために、再エネ特措法において廃棄等費用積立制度を創設するなどの措置を講じてきた。

 今後、非FIT/FIP案件の増加が想定されることも踏まえ、資源エネルギー庁と環境省は共同で「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」を2023年4月に設置し、太陽光等の再エネ発電設備の廃棄・リサイクルに関する対応の強化に向けた検討を行ってきたが、その第7回会合では「中間取りまとめ(案)」が示された。

 検討会では風力発電等の電源についても議論されたが、本稿では太陽光発電について取り上げることとする。中間とりまとめでは、太陽光発電事業ライフサイクル全体の各プレーヤーが、「再エネ発電設備(モノ)」を適切に処理できるよう、必要な「費用(カネ)」と「情報」が円滑に流通する枠組みを構築するべく、各事業段階における課題について整理している。太陽光発電設備の廃棄・リサイクルの全体像は図2のとおりである。

図2.太陽光発電設備の廃棄・リイクルの全体像 出典:再エネ発電設備の廃棄・リサイクル検討会

現行の太陽光発電設備の情報管理

 太陽光パネル等の製造段階から廃棄・リサイクルが完了するまでのトレーサビリティを確保するため、検討会では、非FIT/FIPも含めた全ての太陽光発電設備を把握するための仕組みについて検討を行った。

 なお、現行の再エネ特措法において、太陽光発電事業のFIT/FIP認定を取得する際には、型式登録済の太陽光パネルを用いることが要件とされており、2023年4月時点で、国内では20,000件を超える太陽光パネルの型式が登録されている。また適切な製造物管理を行う観点から、太陽光パネルメーカーでは、太陽光パネル1枚ごとにシリアルナンバーの付与を行っている場合が多い。

 太陽光発電協会(JPEA)が策定する「使用済み太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」では、太陽電池パネルに使用されることのある4物質(鉛、カドミウム、ヒ素、セレン)について、含有率基準値を0.1wt%として表示を求めており、33社のメーカー等が、4物質の含有情報を自主的に公表している。

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