太陽光のFIP/FIT新規認定、「含有物質情報を登録したパネルの使用」を要件に法制度・規制(4/4 ページ)

» 2024年01月30日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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太陽光パネルの中間処理と最終処分

 解体・撤去された太陽光パネルは、収集運搬事業者により運搬され、中間処理業者において分解・破砕等が行われ、リサイクル業者や最終処分業者へと運ばれる。

環境省が実施したアンケート調査の結果によると、2021年度時点における太陽光パネルの中間処理が可能な施設の地域別立地状況、処理能力は表1(抜粋)のとおりであり、現時点では施設の立地状況に地域差がある。

表1.都道府県別太陽光パネル中間処理能力(抜粋) 出典:再エネ発電設備の廃棄・リサイクル検討会

 現在、太陽光パネルのリサイクルに係る法規制等が無いため、コストのみを考慮した処理方法が選択される場合がある。しかし、今後見込まれる廃棄パネル排出量のピークに適切に対応するためには、再資源化を可能な限り優先することで、最終処分量を削減するとともに、再生可能な資源を有効活用することが重要である。

 太陽光パネルは電気機械器具に該当することから、埋立処分する場合には、浸出水の処理設備を備えた管理型最終処分場に埋め立てることが必要である。最終処分業者においては、浸出水を含め処分場管理や適正処理のため、廃棄物受け入れの際に溶出試験のデータ等が必要であり、試験の適正化や効率化のためには含有物質の情報が公開されていることが重要である。現行制度では、FIT/FIPの事業計画策定ガイドラインにおいて、発電設備の処分を行う場合には発電事業者から最終処分業者へ廃棄物の情報提供を行うことを定めている。

 先述のとおり、今後、FIT/FIP太陽発電事業者は、4物質(鉛、カドミウム、ヒ素、セレン)の含有情報等が登録された太陽光パネルを必ず使用することになるため、最終処分に必要な情報提供の一助になると期待される。

 使用を終了した太陽光発電設備については、発電事業者や所有者等の責任によって適正に解体・撤去され、リサイクル等の適正な処理のルートに流れることが原則である。しかしながら、今後、事業終了後に放置され、発電事業者等が所在不明となる場合も想定されるため、この対応について、事業用と住宅用、FIT/FIP制度の対象であるか否か等のそれぞれのパターンごとに、関係法令等を踏まえて今後検討を深める予定としている。

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