自動車業界では、日本自動車工業会が2011年に自動車のライフサイクルCO2(CFP)を評価する簡易的な算出方法を構築したが、CO2削減の取り組みがより適正に評価されるよう、現在、新たな算定方法を作成中である。
自動車を構成する材料や部品は様々な国から調達され、自動車そのものも世界中の国々で生産され、様々な国へ輸出されるグローバル商品であるため、自動車用LCAルールを特定の地域・国だけで定める事はできない。このため日本の国交省提案に基づき、国連欧州経済委員会(UNECE)の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)やそのサブグループにおいて、自動車用LCA手法について議論が開始されており、自工会からもこの検討に参画している。
また、建築分野ではライフサイクルCO2排出量をホールライフカーボンと呼び、すでに複数の国や地域において、建築物のホールライフカーボンの算定報告の義務化や上限値規制が開始されている。
国内では、東京都が環境確保条例「建築物環境計画書制度」のもと、新築時点で発生するアップフロントカーボンの算定・報告の義務化を2025年4月から施行予定としている。
「削減実績量(仮称)」という新指標により、GX価値を顕在化させることは、それ自体がゴールではなく、需要者側に対する具体的なインセンティブにつなげることにより、GX製品市場の拡大につなげることが重要となる。
国等の公的機関はグリーン購入法等に基づき、GX価値を有する製品を率先して調達することで安定的な初期需要を創出することが期待される。また民間企業では、GXリーグにおけるグリーン調達に関するガイドラインの整備などを通じて、GX製品を優先的に調達することや、一般消費者に対しても、GX製品の意義を積極的にPRし、GX製品の需要拡大に向けた機運醸成を図ることが期待される。
なお、当面の間、GX製品は従来品よりも高コストであることが想定される。これまでも、省エネ設備等に対する補助制度はあったが、今後は運用段階でのCO2削減だけでなく、ライフサイクル全体の脱炭素化を評価する、新たな考え方の補助制度についても検討を進める予定としている。中長期的には、支援措置が無くとも市場拡大を通じてコスト競争力を確立することが期待される。
GX/脱炭素が評価されにくい産業を支援、新たに「CO2削減量」のアピールを可能に
企業の脱炭素投資はどう評価されるべき? 政府が「GX製品市場」の在り方を検討へ
改正省エネ法の対応実務のポイント、2024年度からの報告・任意開示にはどう対応すべき?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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