ペロブスカイト太陽電池搭載センサーを室内に導入、リコーが実装検証を実施太陽光

リコーが東京都と共同で、ペロブスカイト太陽電池の実装検証を実施する。東京都庁およびサービス付き高齢者向け住宅に、リコーが開発したペロブスカイト太陽電池を実装するセンサーを導入し、同電池の課題とされる低照度環境での性能などを検証する狙いだ。

» 2024年03月19日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 リコーとリコージャパンは2024年3月15日、東京都および東京都住宅供給公社と共同で、ペロブスカイト太陽電池の実装検証を開始すると発表した。東京都庁およびサービス付き高齢者向け住宅に、リコーが開発したペロブスカイト太陽電池を実装するセンサーを導入する。

 ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟に製造可能という特徴を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは車体などの曲面といった、さまざまな場所に設置できる次世代太陽電池として注目を集めている。一方で、屋外や低照度の屋内での耐久性には課題が残る。

 今回の実証ではペロブスカイト太陽電池を搭載した、CO2や環境情報を取得できるリコー開発のセンサーを設置する。東京都庁においては、展望室にディスプレイと5個のセンサーを設置し、取得した温湿度およびCO2濃度をもとに、換気や空調管理、混雑状況を把握するのに役立つデータとして展望室内でディスプレイに表示。施設の維持管理および来場者の安心感醸成につながるソリューションとして検証を行う。

 もう一つの実証エリアであるサービス付き高齢者向け住宅「コーシャハイム向原」では、廊下、共用部、居住個室など5カ所にセンサーを設置し、取得した情報を施設内の温湿度管理、および換気の目安として活用する。また、照度センサーの活用により、照明の点灯有無から安否確認にも利用する計画だ。

東京都庁展望室(左)およびコーシャハイム向原(右)での設置イメージ

 リコーは、複合機の開発で培った有機感光体の技術を応用し、低照度の室内光でも発電する固体型色素増感太陽電池の開発と販売を行っている。2023年からはセブン-イレブン店舗において次世代太陽電池の実証実験を国内で初めて行い、大田区ともペロブスカイト太陽電池の実証実験を行うなど、積極的にペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んでいる。今回の実装検証を通じて、ペロブスカイト太陽電池の早期事業化を目指すという。

リコーが開発した固体型色素増感太陽電池モジュール「RICOH EH DSSCシリーズ」 出典:リコー

 なお、今回の実証は2024年4月からの1年間を予定している。

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