現在、供給信頼度基準としては確率論的に算定されるEUE(停電量の期待値)が用いられており、エリア毎の停電予測量が年間EUE基準より「小さい値」であれば、年間を通じて目標とする供給信頼度が確保されていると言える。
年間EUEで評価した結果、短期断面では、電源の休廃止や補修停止等により2025年度の北海道・東京・九州エリアにおいて、目標停電量を超過している。また長期断面でも、電源の休廃止等により、北海道・東北・東京・九州・沖縄エリアで目標停電量を超過する年度が発生している。このことは、容量市場メインオークションにおいても、これらのエリアでは約定処理上の市場分断が発生していることと整合的である。
なお、これまでの需給バランス評価においては、小売電気事業者が確保する供給力等を基礎としていたが、卸取引量の増加により年間計画では未契約の供給力が増えるとともに、事業者数や小規模取引の増加、ベースロード市場の拡大等により、取引内容を確認できない問題が生じていた。2024年度から容量市場の実需給開始により、小売電気事業者の供給力確保義務の位置付けが変更されたことを踏まえ、2024年度以降の需給バランス評価においては、発電事業者が保有する供給力を基礎として評価することに変更された。
2024年度供給計画取りまとめにおける、2033年度の設備容量は全国で36,166万kWであり、2023年度の32,144万kWと比べ、約12%の増加が見込まれている。(いずれも各年度末時点)。この設備容量には、長期計画停止等のため供給力として計上していない休止電源も含まれる。また原子力については、過去に稼働実績がある33基(既に運転終了したものは除き、運転再開時期未定の設備を含む)を積み上げている。
設備容量の電源種別の内訳及び、2023年度から2033年度への増減(変化率)を見たものが、表5である。2033年度時点では、太陽光がLNGを追い抜き、最大の設備容量となると見込まれる。
なお表5では、2033年度時点の蓄電池設備容量が109万kWとなっているが、すでに2023年5月時点で接続検討受付が約1,200万kW、契約申込が約112万kWであることが系統ワーキンググループで報告されていることから、供給計画での集計は過少であると考えられる。
火力発電の新増設及び休廃止計画の推移(2024年度からの累積値)を見たものが、図4である。2025年度以降、休廃止(長期計画停止を含む)が新増設を上回る状態で横ばい傾向となる。
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