一般送配電事業者等が作成する供給計画では、再エネ等の新規電源や新規需要の連系に伴う送電線の整備のほか、広域的運営に必要と判断された地域間連系線の整備が計画されている。
高度経済成長期に大量に施設された送配電設備が今後本格的に経年対策を要する時期を迎えると、至近の更新ペースでは対応しきれない大量の工事物量が発生すると想定される。このため、広域機関は2021年に、一般送配電事業者10社共通の標準的な設備リスク評価方法を示した「高経年化設備更新ガイドライン」を策定しており、一般送配電事業者各社は設備のリスク量や施工力等を踏まえて工事物量を算定し、自社の設備更新計画に反映することとしている。
電力の広域的運営の状況を示す指標の一つとして、広域機関では電気事業者各社の2024年度の取引計画におけるエリア外との取引電力量(kWh)と、需要電力量に対するその比率を公表している。なお、取引の相手エリア毎に調達(受電)と販売(送電)を相殺して算定している。
電力量(kWh)で見れば、東京エリアの受電量・東北エリアの送電量が多いが、需要に占める比率で見ると、中国エリアの受電率が高く、四国エリアの送電率が高いことが分かる。
小売電気事業者による確保済供給力(相対契約)の推移が図11であり、至近の2024年度は8割程度契約されているが、2025年度以降その契約量が減少する傾向にある。
旧一般電気事業者の発電部門(発電事業者)は、内外無差別の原則に基づき、2〜5年程度の長期卸販売を行っているが、買い手となる小売部門(小売会社)側では将来の小売契約が確定していない等の理由により、確保済供給力が減少している。
なお、2024年度の容量市場開始により、小売電気事業者の供給力確保義務とは、容量拠出金を支払うことと整理されているため、長期相対契約の有無は、主に経済的なヘッジの有無を意味するものと考えられる。
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