再エネ大量導入の時代、地域間連系線・地内送電線の運用容量はどうなるのか?第1回「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」(3/4 ページ)

» 2024年07月31日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

運用容量の制約要因3:電圧安定性

 需要(負荷)の急増により電力設備に流れる潮流が増えると、系統の電圧が低下し、限界点を超えると、電圧は低下の一途をたどること(電圧崩壊)となる。電圧を適正範囲に維持するためには、無効電力を供給する電力用コンデンサ等の設置が必要となるが、電圧調整装置による効果は広範囲に及ばないため、電圧低下の著しい場所へ設置することが重要となる。

 一般送配電事業者はN-1故障時に電圧不安定現象を招かぬよう、主要系統の電圧が定格電圧の90%を下回らないことを確認している。

図5.電圧安定性と電圧調整装置 出典:将来の運用容量等在り方作業会

運用容量の制約要因4:周波数維持

 送電線のルート断故障(N-2故障)により電力系統が分離した場合、片側の系統では電力の供給が需要を上回り、系統周波数が上昇する一方、もう片側では供給が需要を下回り、系統周波数が低下する。よって、電力系統の周波数を安定的に維持できる限度値として、周波数維持制約が設定されている。

 地域間連系線の周波数限度値は、連系線とその潮流方向により異なり、中西エリアでは低下側で59.0〜59.5Hz、上昇側で60.0〜60.6Hzで設定されており、限度値を超える場合、大量の発電機の解列や大規模停電に至るおそれもある。

図6.ルート断故障(N-2故障)と周波数維持制約 出典:運用容量検討会

 以上をもとに、全国の地域間連系線の運用容量決定要因(2024年度・平常時)を示したものが図7である。

図7.連系線の運用容量決定要因(2024年度・平常時) 出典:運用容量検討会

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