非化石証書の24年度初回入札は約定量が急増、高度化法の中間目標の達成率は9割超に第96回「制度検討作業部会」(1/5 ページ)

資源エネルギー庁の制度検討作業部会で、2024年度における非化石証書の第1回オークション結果が公表。また、小売電気事業者などに対して一定以上の非化石電源の活用を求める高度化法で定められた中間目標(について、その達成状況が報告された。

» 2024年10月04日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 現在の非化石価値取引市場は、再エネ価値を取引する「再エネ価値取引市場」と、エネルギー供給構造高度化法義務の達成に向けた取引が行われる「高度化法義務達成市場」に分かれている。

 従来、非化石証書のトラッキングは、非化石証書購入者が希望する非化石電源の属性情報(電源種、所在地等)を約定後に無償で付与する仕組みであったため、非化石電源の属性に応じた非化石価値の差異が反映されないという課題があった。そこで2024年度の第1回オークションから、非化石証書の属性情報(トラッキング情報)が証書価格に反映されるよう、証書の購入者が入札時に、希望する電源のトラッキング情報を明示した上で入札を行うよう制度を見直した。

 資源エネルギー庁の制度検討作業部会では、この第1回オークション結果や、高度化法の2023年度中間目標達成状況等が報告された。

再エネ価値取引市場(FIT証書)のオークション結果

 再エネ価値取引市場ではFIT証書が取引されている。同市場の2024年度第1回オークション(8月30日)において、約定量は約144億kWhとなり、2023年度第1回オークション(以下、前年同期)と比べ7割増加した。また、入札会員数は243社と、前年同期と比べ2割増加している。平均約定価格は、従来と同じく、最低価格(0.4円/kWh)と同額であった。

図1.再エネ価値取引市場(FIT証書)の推移 出典:制度検討作業部会

 売り入札量は約301億kWhであり前年同期比約9%の増加に留まったが、買い入札量は約144億kWh(=約定量)と前年同期比で+69%の大きな増加となり、買い手の関心の高まりが感じられる結果となった。

 買い札価格(応札価格)の分布を、今回と前回で比較したものが図2である。最低価格(0.4円/kWh)での応札が大半を占めることは従来同様であるが、最低価格よりも若干高い価格帯(0.41円/kWh)での入札量が増加(2023年度1.3億kWh⇒今回14億kWh)していることが明らかとなった。これは、希望する電源のトラッキング情報を入札時に明示する方式に変更したことにより、応札者(約1割の応札量に相当)は落札の確実性を高めるために、0.01円/kWh上乗せしたと考えられる。

図2.再エネ価値取引市場 応札価格の分布 出典:制度検討作業部会
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