太陽光発電所の多くは、スクラップとして高単価で売却可能な銅ケーブルを使用しているため、そもそも金属盗の対象になりやすく、無人であり人目につきにくい立地場所にある発電所や地上配管(露出配線)が多い発電所などは、特に盗難リスクが高いと考えられている。
ケーブル盗難が生じた場合、ケーブルそのものだけでなく、付随して「防犯機器や塀の破損」、「PCSや分電盤、遮断器、キュービクルなどの損傷」等が生じる。これら機器の取り換え、ケーブルの張り替え、回復工事などの費用に加え、発電を再開するまでに3カ月以上の復旧期間を要する場合もある。
復旧までの間、当該事業者は売電収入も得られず、損害保険料の大幅値上げや免責範囲の見直しといった、二次的な追加費用も生じることとなる。保険でカバーできないリスクについては、太陽光発電事業者自身で負担するようレンダーから求められ、それにより事業継続が困難になるケースもあるという。これらは太陽光発電の新規案件開発のブレーキとなっている。
太陽光発電協会(JPEA)と再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)が会員を対象にアンケートを行ったところ、313設備・1,494MWの被害事例が報告された。表2は、各電圧区分別に被害状況を集計し、1設備当たりの平均値を算出したものである。個別に見れば、直接的被害額が1.9億円、売電損失が1億円以上という発電所もあったと報告されている。
太陽光発電事業者はケーブル盗難対策として、発電所に警報機等を設置することがあるが、深夜に警報サイレンが鳴り響くことにより、地域住民の安心・安全な生活にも影響が生じている。
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